「明るく楽しいモノづくり」を提唱するコンサルタント関伸一氏が考える、中小企業ならではのIoTのやり方とは? 第1回は、二極化している中小企業のIoTへの取り組みと、IoTネタの探し方について考えてみる。
「IoT」「ビッグデータ」「AI」、3つのワードが話題になり始めたのはもう3年ほど前だろうか。今や新聞紙面やポータルサイトにこれらのワードが載らない日はないといってよいくらいだ。
では、それらは中小企業にどれだけ普及しているのだろうか? 筆者はここ1年で数十社の中小企業を訪問しているが、実際に形になった取り組みをしている企業は片手で数えられるほどで、「静観」しているならまだしも、「自分たちには関係ない」と決め込んだ経営者も少なくない。いわば二極化、しかも取り組んでいる企業が圧倒的に少ないのが現状だ。
なぜそうなっているのか、これからどうすればよいのか。筆者なりの考えをまとめてみよう。
「IoT:Internet of Things」=「モノのインターネット」。何やら日本語になっていない。ネットで画像検索してみてもシンプルなものから複雑怪奇なものまで千差万別だ。最もシンプルなものを自分なりに書き直したものが図1だ。
モノ(この図の場合掃除機)がインターネットにつながり、さまざまなデータをクラウドに送り、クラウド内で解析し、モノの状態をはじめ、さまざまな要素をさまざまな形で可視化(見える化)する。こう図式化すれば分かりやすい。
では、このIoTで何ができるのか? 「高速道路のトイレの空き具合がディスプレイに表示される」――こんな例がテレビで紹介されていたが、これはトイレのドアのセンサー情報をディスプレイに表示させればいいのでインターネットを介する必要はないが、「それはIoTじゃないよ!」と目くじらを立てて指摘するほどのことでもない。IoTはその形態も活用範囲も非常に広い。
中小企業の経営者によく聞かれる。「IoTって何なのよ? 具体的にどういうこと?」筆者は次のように説明することにしている。
「社長、行きつけのバーやスナック、たくさんあるでしょう? ボトルもキープしているでしょう?もし、どの店にどの銘柄のウイスキーがキープされていて、その残量がどれくらいという情報がスマートフォンに表示されたら便利じゃないですか?」
「そりゃぁ便利だね。残りが少ないお店に行くときには財布の中身を増やしていけばいいし、まさかママに電話して、俺のボトルどれだけ残ってる? なんてヤボなこと訊けないしな」
「そんなことが簡単にできるのがIoTなんですよ」
これでほとんどの社長さんに理解していただける。
形態や活用範囲が多岐にわたるIoT、活用範囲を「モノづくり」に絞ったところでまだまだ広い。だからこそ私たちは「IoTで何をするのか、したいのか」を明確にして取り組む必要があるだろう。使い古された言葉ではあるが、「選択と集中」を意識しなければならない。
では、どんな視点でフォーカスしていけばよいのだろうか。筆者は次の2つだと考えている(図2)。
まずは前者から考えていこう。
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