そんなわけでRPMAは2012年あたりから実際にネットワークの提供を始めつつも、これまではプライベートネットワーク向けということであまり名前は知られてこなかった。
この状況が変わるのは、冒頭にも述べた2016年である。アンジェヌの3代目のCEOであるジョン・ホーン(John Horn)氏(前職はRacoWirelessの社長、その前はT-Mobileのナショナルディレクター)は会社の方針を転換。社名をアンジェヌに変更するとともに、パブリックネットワークの提供を開始することを決める。
この方針に従い、現状では北米のみの、それも南部に偏在している感はあるが、パブリックなRPMAネットワークの提供を開始している。同社によれば、2016年末までに人口1億人をカバーするネットワークを提供しており、117の独立した地域の合計9万3906平方マイル(約24万3000m2)で利用可能で、平均41.03kbpsのアップリンク、同20.51Kbpsのダウンリンクを実現できるとしている。開発キットはアンジェヌとユーブロックスから入手可能である。
これはsigfoxに近いビジネスモデルであり、通信料をアンジェヌに支払って使う形になるが、その支払いモデルも複数用意されるとのことだ。今後はハードウェアのパートナー企業を増やす予定で、このあたりもsigfoxに近い。ただ従来のプライベートネットワークの提供を捨てるつもりもなく、これら2つを平行して提供していく、というビジネスでモデルある。
アンジェヌの場合、今後のターゲットは法規制の厳しい欧州よりも、アフリカや南米、中近東といったエリアだそうで、その意味では日本でお目見えする機会はなさそうに思える。しかし、連載第35回で紹介したEC-GSM-IoTなどと同様に、海外では広く使われて行くことになるかもしれない。
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