特集:IoTがもたらす製造業の革新〜進化する製品、サービス、工場のかたち〜
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» 2017年10月31日 10時00分 公開

エネルギー会社向けLPWA「RPMA」は基地局1つで20km四方をカバーするIoT観測所(38)(2/3 ページ)

[大原雄介,MONOist]

プライベートネットワークでどうやってもうけるのか

図2 図2 通信モジュールを含む一切はシールドの中に収められている 出典:Xconomyの“On-Ramp Wireless, Learning From the Past, Says Its System Is Ready”

 さて話を戻そう。On-Rampは世界各地のエネルギー会社と契約を結び、それぞれの会社のインテリジェンス化に貢献する。図2はOn-Rampが2010年頃に試作した、RPMA対応Smart Meterのレファレンスデザインだが、RPMAを使うとスマートメーター普及の最大の障壁である接続の問題が一気に解決することになる。

 他にも、多数点在する油田の監視や、ガスや油を送るパイプラインの監視といった、「数は多いが広い面積に分散する」センサーの接続にRPMAは最適、としたわけだ。確かにこうした用途であれば、個々のデバイスの通信速度はそれほど高い必要は無い。

 また、こうした用途では顧客が自身で基地局を建設し、自社のデバイスと接続する形になるから、扱いとしてはプライベートネットワークになる。パブリックネットワーク経由でのサイバー攻撃そのものを考える必要が無い(もちろん、セキュリティに関する問題がなくなるわけではないので、暗号化などの対策は用意されている)ことも、安全性に注意を払うエネルギー供給会社としては重要なポイントと判断されたのだろう。

 基地局を構築するとなるとその分はコスト増になるが、RPMAはその基地局の数を最小化できることになる。2015年5月にOn-Rampと契約を結んだWellAwareという油田管理会社は、自社が管理する多数の油田のモニタリング装置を無線通信接続するにあたり、携帯電話会社のネットワークのカバレッジ外であることが多く、900MHz帯の規格だと初期投資が高くなりすぎ、衛星通信だとオペレーションコストが上がりすぎることをRPMA採用の理由としている。

 ただこうしたプライベートネットワークの場合、どうやってもうけるか? という問題がある。これがsigfoxだと、基地局そのものをsigfoxないしパートナーが運営することで、通信料としてデバイス1つ当たり年1米ドルを徴収するというビジネスモデルが構築されているわけだが、RPMAでは基地局そのものも顧客が構築するから、そこから通信料を取ることはできない(逆に言えば通信料がかからないからこそ採用してもらえたわけではあるが)。

 その答えは? というと、通信モジュールそのものになる。もともとOn-Rampの母体になったのは、CommASICという通信関係のASICを開発する会社であった。同社は2005年にフリースケール(Freescale Semiconductor)に買収され、その当時のメンバーもいったんはFreescaleに務めたが、その後あらためて独立してOn-Rampを興した格好である。

 要するに通信向けチップの製造に長けたメンバーであり、さらに独自の技術を詰め込んでRPMAという通信方式を開発したわけで、RPMAを使うためには同社のチップを必ず使う必要がある。要するにZ-WaveとかIP500などに近いビジネスモデルとなるわけだ。

 ただ現在はアンジェヌだけでなく、ユーブロックス(u-blox)もライセンスを受けてRPMAのモジュールを提供しており、こちらを利用してのデバイス構築も可能である。

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