フィールドサービスマネジメント(FSM)プラットフォームを展開するサービスマックスは年次ユーザーイベント「MAXIMIZE TOKYO 2017」開催。2017年1月に同社を買収したGEデジタルが手掛けるアセットパフォーマンスマネジメント(APM)とサービスマックスのFSMを統合する方針を打ち出した。
フィールドサービスマネジメント(FSM)プラットフォームを展開するサービスマックス(ServiceMax)は2017年10月17日、東京都内で年次ユーザーイベント「MAXIMIZE(マキシマイズ)TOKYO 2017」開催した。基調講演には、同社 CEO デーブ・ヤーノルド(Dave Yarnold)氏の他、2017年1月に同社を買収したGE(General Electric)のCDO(最高デジタル責任者)とGEのソフトウェア事業部門であるGEデジタル CEOを兼務するビル・ルー(Bill Ruh)氏が登壇し、GEデジタルが手掛けるアセットパフォーマンスマネジメント(APM)とサービスマックスのFSMを統合していく方針を打ち出した。
東京でマキシマイズが開催されるのは2016年に続き2回目、サービスマックスが国内で開催するユーザーイベントとしては3回目になる。ヤーノルド氏は「来場者数は1回目が100人、2回目が300人、そして今回が800人と大きく伸びており、当社への注目度が年々高まっていることを感じる」と語る。その上で同氏は、サービスマックスの現在と今後について「大いなる刺激」「未曾有の成長」「絶え間ないイノベーション」の3点に分けて説明した。
まず「大いなる刺激」とは、サービスマックスを傘下に加えたGEから得られたものだ。GEの技術を活用して航空機が飛ぶ(離陸する)回数が2秒に1回、GE Powerの技術により生成されている電力の割合は世界の3分の1以上、GEヘルスケアの技術で治療を受けている患者数は毎日3000人などの数字を挙げながら、「何よりの刺激は、これらの事業でGEが得ている利益の大半がサービスから生まれているところだ」(ヤーノルド氏)とした。
そして「未曾有の成長」も、GEとのコラボレーションから生まれている。GEがサービスマックスを買収した大きな理由は、GE自身がサービスマックスのユーザーとしてその有用性を認めたところにある。ヤーノルド氏はGEにおけるサービスマックスの貢献について「1万2000人以上のフィールドエンジニアが利用しており、1億米ドルもの生産性向上によるコスト削減を果たした。また、890万米ドルの年間売上を増やす効果も生み出している」と強調する。
GEに対する貢献と同様に、サービスマックスはさまざまな顧客に対してFSMプラットフォームを展開していく。同社のFSMプラットフォームによって生み出される産業サービス市場へのインパクトは、生産性向上によるコスト削減と売上高増加の合計で5000億米ドルに上るという。
顧客や調査会社からの高い評価を得ているサービスマックスだが、同社のFSMプラットフォームの利用状況は、技術者数が前年比80%以上増の30万人以上、アセットロケーションが同40%増の2600万、作業指示書が同77%増の4000万、サービスが提供されたアセットが同55%増の1億2400万となっている。
この高い成長とGEグループに入ったことによって「絶え間ないイノベーション」をさらに進展させる。例えば、現在のFSMプラットフォームに対して、円滑なフィールドサービスで重要な役割を果たすモバイル機器向けのアプリケーション開発に注力する。2008年のサービスマックス創業時はモバイル機器として「iPad」を想定していたが、現在は急速に普及が進んでいる大型画面のスマートフォン(ビッグフォン)を意識したデザインになるという。この他、2016年から加わった解析機能のサービスパフォーマンスメトリクス(SPM)についても、AI(人工知能)を活用していく方針である。
「絶え間ないイノベーション」の中でも、最も興味深いのがGEデジタルのAPMとサービスマックスのFSMの統合になる。ヤーノルド氏は「この四半期をかけてAPMとFSMの統合を進めてきた。アセットであるモノの状態をAPMによって予測し、そのモノの状態に合わせたサービスオペレーションをFSMで実施すれば、計画外のダウンタイムをゼロにすることができる。1時間のダウンタイムによる損失は、2万5000米ドルとも、26万米ドルともいわれているが、この大きな損失を避けられるのだ。そして、APMとFSMを同時に行える企業は、GEとサービスマックス以外にはない」と語る。
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