装置の品質に関わる問題ですが、装置が突然止まってしまったということが起こったらどうなるでしょう。お客さまの生産性に著しい損害を与えることとなります。
その原因ですが、装置起因としては、以下のようなことが挙げられます。
皆さん、以下の図の内容はご存じですか。
装置によっては、お客さまからの要求仕様書に提示されていることがあります。装置はもちろんですが、装置を構成する部品に対して満足していることが必要です。詳細設計者は機器選定において、装置仕様に対して仕様が満足していることを検証した上で、これらの信頼性を満足していることを確認する必要があります。
これらの内容は、お客さまとの関係が強い装置納入担当者、調達先との関係の強い調達部門、社内の品質管理部門、メンテナンス部門の方々が、「壊れやすい」「壊れにくい」また定量的な情報を持っていることが多くあります。
選定における検証としてこれらの部門の方々の情報・知識・経験も必要となります。詳細設計において、部品の剛性が仕様上十分であることの検証は必要です。また、安全率という考えも必要です。
「ゾウが乗っても壊れない」ではなく、部品コストと納期、品質のバランスの良い最適化された部品形状であり、ユニットであり、装置であることが必要です。剛性が不十分であったためにお客さまが使用しているさなかに、保証期間中で壊れることは許されません。
私の経験では、高精度装置、微細製品を製造する装置において、温度の影響を受けることが増えています。以下にまとめます。
製造プロセスでは熱や紫外線やレーザーなど熱を発する光源を使用します。製品や材料が軽薄化・微細化・高精度化していく上で温度影響は小さくありません。装置の多軸化が進み、それらのコントローラーなどの熱源が増えています。
これらの熱の影響を検討する上では、剛性上の問題を含め、CAEは有効な手段です。また、検証時には、熱問題に詳しい人、材料に詳しい人、プロセスに詳しい人の参加が必要です。次にソフトウェアですが、ソフトウェアに対する要求は強まる傾向にあり、これは、PC系でもPLC(programmable logic controller)でも変わりはありません。
ソフトウェアには、バグ(bug)が存在します。このバグにもタイプはあります。私はソフトウェア設計者ではありませんが、メカ設計者の立場からは次のような内容に見えます。
これらの問題をなくすために、デバッグ(debug)を行います。オペレーターによる操作ミスというのは、厄介だと私は考えます。ソフトウェア設計者の予想もしなかったような操作を行うことがあり得るためです。
例えば、装置をエラー復旧時の再起動操作を誤る、装置からワーク(材料)の給材要求や除材要求が発生した際の手順を間違えた、予想しがたい状況で非常停止ボタンを押してしまったなどということが起こり、そこから装置の「ダンマリ」といわれる装置が動かない状況になったりすることがあるからです。
これらの問題を未然に回避するには、ソフトウェア設計担当者だけではない、さまざまな視点での検証が必要です。またこれらの試験を実際の装置で行うと、装置を破損する可能性があります。そのため仮想試験は有効な手段です。仮想検証であれば装置はぶつかっても壊れることはありません。
さまざまな検証を行う上では、社内のさまざまな人の参加が必要です。次回に話は続きます。
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