ワコムは、配電盤などの回路設計に用いる電気設計CAD「ECADシリーズ」を中核とするエンジニアリングソリューション事業を、配電盤大手の日東工業に譲渡する契約を締結した。
ワコムは2017年9月13日、配電盤などの回路設計に用いる電気設計CAD「ECADシリーズ」を中核とするエンジニアリングソリューション事業を、配電盤大手の日東工業に譲渡する契約を締結したと発表した。現時点で譲渡金額は非公表となっている。
ワコムは同年12月1日付で、エンジニアリングソリューション事業を「株式会社ECADソリューションズ」として会社分割する予定。ECADソリューションズの資本金は1000万円、代表取締役は鈴木忍氏、本社所在地は埼玉県さいたま市を候補としている。ECADソリューションズの全株式は、設立と同日付で日東工業に譲渡される予定である。
譲渡される予定のエンジニアリングソリューション事業は、2016年度(2017年3月期)の売上高が6億8200万円、営業損失が3200万円。同事業に関わる従業員数は34人。
ワコムは、ペンタブレットなどのブランド製品事業、モバイル機器向けペンセンサーシステムなどのテクノロジーソリューション事業とともに、安定的なキャッシュフローを創出する事業の1つとして、エンジニアリングソリューション事業を位置付けてきた。同事業の代表ブランドであるECADシリーズは「日本の電気設計を支えるCADソリューションとして30年以上にわたりって業界をけん引してきた」(ワコム)という。
このエンジニアリングソリューション事業を買収する日東工業は、ECADシリーズを使って設計される製品の1つである配電盤や分電盤の国内大手メーカーだ。つまりユーザー側ということになる。日東工業は「双方の配電盤/制御盤の設計製造分野における経営資源や事業ノウハウを融合することで、顧客へのより付加価値の高いサービス提供が可能になると判断した」としている。「電気設計CADの需要は高く、ECADシリーズ単独で見ても十分に将来性のある事業だ。また、当社の本業の配電盤/制御盤の設計製造でも、これまで標準品からのカスタム案件に対応する図面システムを独自に用意していたが、ECADシリーズと連携することで相乗効果を生み出せるだろう」(同社)。
なお、ECADシリーズは、2017年9月11日に最新バージョンとなる「ECAD DXC 2018」が発売されたばかりだ。
多くの買収で揺れ動いたCAD周りの10年、今後はユーザー側が買収に乗り出すか
電気制御設計と3Dモデリングを連携、部品配置と最適配線の自動化も可能に
配線作業は誰でもできる!? 脱“紙”で配線作業の簡略化を実現――DMS2013 電気系CAD動向
「制御盤」をより省スペースに、より効率的に! 進化に導く3つの「P」とは
菊川工場に新試験研究棟を建設、設置環境に対する性能検証を強化Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Factory Automationの記事ランキング
コーナーリンク
よく読まれている編集記者コラム