メガオプトは、媒質にチタンサファイアを用いた超小型の波長可変パルスレーザーを開発した。特定波長のみを発振させるレーザー共振器を波長ごとに並べることで小型化し、1台で2つの波長を高速に出力する。
メガオプトは2017年8月28日、媒質にチタンサファイアを用いた、超小型の波長可変パルスレーザーを開発したと発表した。特定波長のみを発振させるレーザー共振器を波長ごとに並べることで、従来のレーザーの7分の1以下に小型化。1台で2つの波長を高速に出力する。
レーザー共振器の媒質には、血管網と血液酸素飽和度の光吸収帯に合った波長を出力できるチタンサファイアを活用。また、最新の光学技術を活用し、単一波長だけを広帯域利得にフィードバックする共振器にした。このレーザー共振器は、不要な波長をフィードバックしないマルチモード発振を採用。マルチモード発振は短共振器・大口径出力で得られるため、長さ数cm程度の高出力のレーザー共振器が可能になった。
このレーザー共振器2台を並列し、1台の励起レーザーの光路を切り替えて導光することで、2波長交互に出力する小型レーザー共振器となる。同社は、新原理検証として、756nm/797nmの2波長を出力する波長可変レーザーを試作。励起レーザー光には市販のフラッシュランプ励起ネオジムヤグレーザーを使用し、必要なレーザー出力特性が得られることを確認した。開発したレーザー共振器は狭帯域となり、共振器がフィードバックする波長は700〜950nmで設定できる。
また今回、波長可変レーザーの狭帯域の特徴を生かした平たんな出力プロファイルを持つ、フラッシュランプ励起レーザーを開発。波長可変レーザーの安定性と信頼性の向上が可能となった。
今後は実用化に向け、新開発のフラッシュランプ励起レーザーと2波長可変の超小型波長可変レーザーが一体となった、励起レーザー一体型の超小型波長可変パルスレーザー装置の開発を進める。
光超音波イメージング法を用いて生体内深部の血管から超音波を発生するには、高出力かつ2波長のレーザー光を交互に照射するレーザーが必要となる。特に酸素飽和度のイメージングには、これまで高出力の大型レーザーを2台用意する必要があった
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