組み込みソフトを最新に保つバイナリ差分アップデートツール、OTAにも対応 : 組み込み開発ニュース
イーソルトリニティはシティリバースと、米Pocket Soft製バイナリ差分アップデートツール「RTPatch」の販売代理店契約を締結した。同社が強みを持つ車載システムなどの組み込みシステム市場向けに提供する。
イーソルトリニティは2017年8月9日、米Pocket Softの日本総代理店であるシティリバースと、Pocket Soft製バイナリ差分アップデートツール「RTPatch」の販売代理店契約を締結したと発表した。イーソルトリニティが強みを持つ車載システムなどの組み込みシステム市場向けにRTPatchを提供する。
RTPatchは、ソフトウェアの変更後のファイルと変更前を比較し、バイナリレベルの変更部分のみを抽出した差分ファイルをパッチとして作成/配布できる。OSのアップデートやアンチウイルスメーカーの定義ファイルアップデートの他、米国航空宇宙局のスペースシャトルや、アメリカ海軍、沿岸警備隊のデジタル航海図のアップデートにも利用されている。日本国内ではカーナビゲーションシステムや、宅配便用のハンディターミナル、ネットワークプリンタなどの組み込みシステムに採用されている。
「RTPatch」の適用範囲(クリックで拡大) 出典:イーソルトリニティ
オリジナルデータから最大99.9%ファイルサイズを削減した小容量のパッチファイルを作成し、オンライン配信でも低コストで高速なアップデートができる。無線ネットワークを使用したOTA(Over-The-Air)にも対応可能だ。アップデート時には、更新前データと更新後データの比較などを行って安全性を確保し、アップデート中の電源断にも対応。さらに、バイナリ差分のパッチだけでは情報として意味がないため、結果的に高いセキュリティが実現できる。
車載ソフトウェアのアップデートを実現するOTAと遠隔診断
車載ソフトウェアの規模増大と複雑化が進む中で、無線ネットワークによるアップデート(OTA:Over-The-Air)の実用化が求められている。同じく無線ネットワークを使った遠隔診断に対する要求も高まっている。これらOTAと遠隔診断を運用するには、セキュリティの枠組みが必要だ。
富士通も自動車向けOTAに乗り出す、ワンストップサービスをグローバルで提供
富士通とVMwareは、車載ソフトウェアの無線ネットワークによるアップデート(OTA:Over-The-Air)の提供で協業する。富士通のOTAリプログラミングソリューションにVMwareのIoTソリューションを組み込み、ワンストップクラウドサービスをグローバルで提供する。
つながるクルマは、ECUとワイヤーハーネスが少なくなる?
Robert Boschは、自動車で無線ネットワークによるアップデート(OTA:Over-The-Air)が可能になる「コネクテッドゲートウェイ」を2019年に製品化する。2023年以降には、コネクテッドゲートウェイにドメインコントローラーとしての機能も内蔵した「ビークルコンピュータ」を投入。演算処理能力はノートPCとそん色ない4万〜50万DMIPSを想定している。
無線ネットワークによるソフトウェア更新、車載Linuxベースの車載情報機器で
ドイツの車載ソフトウェア開発会社、ATS Advanced Telematic Systemsは、「オートモーティブワールド2017」内の「第5回 コネクティッド・カーEXPO」において、無線ネットワークによるアップデートを車載Linux「Automotive Grade Linux」ベースの車載情報機器で行う様子を紹介した。
クルマのスマートキーは今後どのように賢くなるのか
コンチネンタルは、Bluetooth Low Energyとスマートフォンを活用した次世代のクルマの鍵を開発している。ドライバーが乗車しようとして歩いてくるのを識別して解錠したり、ドライバーが誰であるかを認識して乗り込む前にシートの位置やエアコンの設定を自動で行ったりできるようにする。また、スマートフォンがそのままクルマの鍵になる技術も2016年末に向けて開発中だ。
車載ソフト更新時間が10分の1に、ディーラーにも行かなくていい
日立グループは、自動運転車やコネクテッドカーのECU向けに、無線ネットワークによるアップデート(OTA:Over-The-Air)を行うソリューションを開発した。新旧プログラムの差分を抽出して車両に配信することにより、従来比で更新にかかる時間を10分の1に短縮する。2018年の製品化を予定している。
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