ドイツの車載ソフトウェア開発会社、ATS Advanced Telematic Systemsは、「オートモーティブワールド2017」内の「第5回 コネクティッド・カーEXPO」において、無線ネットワークによるアップデートを車載Linux「Automotive Grade Linux」ベースの車載情報機器で行う様子を紹介した。
ドイツの車載ソフトウェア開発会社、ATS Advanced Telematic Systems(以下、ATS)は、「オートモーティブワールド2017」(2017年1月18〜20日、東京ビッグサイト)内の「第5回 コネクティッド・カーEXPO」において、無線ネットワークによるアップデート(OTA:Over-The-Air)を車載Linux「Automotive Grade Linux(AGL)」ベースの車載情報機器で行う様子を紹介した。
萩原電気と共同で、ルネサス エレクトロニクスの車載情報機器向けSoC(System on Chip)「R-Car」で動作するAGLベースの車載情報機器を、OTAで変更するデモンストレーションを実施した。
展示ではPCと車載情報機器をWi-Fiで接続して、車載情報機器の画面のデザインを書き換えるプログラムを配信した。Wi-Fiだけでなく3G通信でもOTAが可能だという。将来的にはLTE通信や5G通信に対応していく。
デモンストレーションの更新データの容量は50M〜60MBで、差分のみを書き換える。更新にかかる時間は2〜3分間だという。「車載品質でセキュリティも担保されたR-Carと車載LinuxでOTAが可能であることを訴求していきたい」(萩原電気の説明員)。
ATSは、電気自動車(EV)ベンチャーのGLMと協業の検討を開始した。GLMが開発しているEVスポーツカーの次世代モデルにOTA機能を搭載する計画だ。「OTAの用途は検討中だが、制御の性能向上や、走行距離の改善、情報サービスなどが考えられる」(ATSの説明員)。
ATSは、アップデートの提供に必要な、サーバとクライアントのコア部分のソフトウェアはオープンソースとして公開しているという。「われわれの強みは、どのサプライヤにも買収されていない独立した立場であることだ。このハードウェアだからサポートするというのではなく、広く対応できる。何ギガバイトものデータを送ることができるか、更新プログラムとの差分をどのように抽出するかといった、OTAの商用化に求められる部分で競合との差別化を図る」(ATSの説明員)。
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