電通国際情報サービス(ISID)は、「第25回 3D&バーチャル リアリティ展(IVR2017)」において、トヨタ自動車向けに開発中のVRマルチユーザーコラボレーションシステムを披露した。
電通国際情報サービス(ISID)は、「第25回 3D&バーチャル リアリティ展(IVR2017)」(2017年6月21〜23日、東京ビッグサイト)において、トヨタ自動車向けに開発中のVR(仮想現実)マルチユーザーコラボレーションシステムを披露した。
同システムを使えば、VR空間内で車両の3Dデータを複数人で共有できる。インターネットを経由すれば遠隔地であっても情報を共有することが可能だ。「販売店の車両の販促や整備に必要な情報を教育することを主な目的として開発を進めており、イントラネットでの接続は前提になっていない。海外を含めて遠隔地とインターネットでつないで、車両情報を共有できることが要件になっている」(ISIDの説明員)。このため、VR空間への同時接続数は20〜30台は可能だとしている。
システム構成は、VRのHMD(ヘッドマウントディスプレイ)は「HTC Vive」、3Dデータのレンダリングは「Unity」、ネットワークエンジンは「Photon」を用いている。要件定義とシステム設計はISIDが、実際のシステム開発はクレッセントが担当した。「Unity、Photonというコンピュータゲームに広く用いられている開発環境なので、かなり安価に提供できるとみている。少なくとも、自動車販売店が導入をためらうような価格設定にはならない」(同説明員)という。
ただし、車両の3Dデータについては、3D CADツールによるソリッドデータをトヨタ自動車側で軽量化したものを使用している。Unityには、3D CADデータを取り込む「Unity CAD Importer」という機能があるものの、この機能と3D CADデータの組み合わせでVRシステムを軽快に動かすことは難しいからだ。
今回披露したシステムは、国内と東南アジアを結ぶなど2017年内にさまざまな実証実験を実施する予定で、その後実用化の段階に入る見通しだ。
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