ALAは例えば、加速時にはフロントスポイラーのフラップが開いて空圧を削減するとともに、車体底部に空気の流れを導くことで抗力を減少させる。これにより、トップスピードを最大化させる。また、フロントスポイラーのフラップを閉じると、コーナリングの手前やフルブレーキに必要なダウンフォースが発生する。
右カーブを曲がる時には右側、左カーブを曲がる時には左側にダウンフォースを増加させてトラクションを向上させる。これにより、少ない操舵角で安定してカーブを走行できるようにする。左右に自在にダウンフォースを発生できるのは、リアウイングの中に空気の流路を設けたことによる。空気の流れは電子制御式の2つのフラップで左右に振り分ける。こうした構造は、長繊維のプリプレグ材では実現が難しく、接着が必要となるため軽量化の効果も薄くなったという。
ランボルギーニは今後、さらに耐久性の素材の開発や、CFRPのプレス加工などリードタイムの短縮の研究を進めていく。三菱ケミカル(旧三菱レイヨン)のようなパートナー企業と共同開発ができることも重要だとしている。
Volkswagen(VW)グループへのCFRP技術の還元について尋ねてみると、デ・オト氏は「生産効率の高いフォージドコンポジットを大量生産のモデルに展開することは可能ではある。これまで、CFRPの素材は航空・宇宙向けを中心に提供されてきたが、自動車も視野に供給が増えてきている。われわれがCFRPを多用していくためにも、自動車業界のために素材を作ってもらいたいと素材メーカーに頼んでいる。クルマが空を飛ぶ必要はないし、宇宙にも行かないので、地上にいるためのCFRPでよいのだ」と答えた。
また、「フォージドコンポジットは生産効率の高さに加えて、外観も革新的だ。ランボルギーニだけでなく、VWグループとしても普及させたいので必要なら技術は共有する。グループ内での共同開発も既に行っている。現時点でどのブランドが使うか決まっているわけではないが、大量生産のモデルに展開する可能性はあると考えている」(デ・オト氏)。
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