シュナイダーエレクトリックは「スマートファクトリーJapan 2017」に出展し、グループ会社のデジタルなどと共同で、スマート工場化を実現する一連のソリューションを提案した。
シュナイダーエレクトリックは、「スマートファクトリーJapan 2017」(2017年6月7〜9日、東京ビッグサイト)において、グループ会社であるデジタルやパートナー企業であるキヤノンITソリューションズなどと共同で、同社がグローバルで展開している一連のスマート工場ソリューションを紹介した。
シュナイダーエレクトリックは制御分野のグローバル企業の1つであり、海外ではIoTを活用したスマート工場化なども推進。既に20年以上の実績があるとしている。ただ、日本国内ではデータセンター関連の取り組みを中心に位置付けており、制御領域での展開は一部にとどまっていた。しかし、M&Aなども通じて、工場内装置の表示機器で実績のあるデジタルや、プラント向けのSCADAなどで大きな実績のあるInvensys(インベンシス)などをグループ化する中で、国内でも工場やビルオートメーションの領域を本格的に強化する動きを強めている。
こうした動きを背景に、「スマートファクトリーJapan 2017」では、「現実的なスマート工場化」に向け、デジタルのPro-face新製品やインベンシスのSCADAソフト「Wonderware」の新機能、シュナイダーエレクトリックの制御機器などを紹介した。
注目を集めたのが、デジタルが出展した「Pro-face IoT Gateway」である。「Pro-face IoT Gateway」は、PLC(Programmable Logic Controller)と表示機器(HMI)の間に接続し、表示機器(HMI)で表示する制御データなどを取得して通信し、データ収集や制御できる機器だ。シリアル通信I/Fに空きがなくても接続でき、プログラム変更なども必要ない。さらにWebブラウザ経由で設定変更なども行える。
工場内ではさまざまなベンダーの機器やシステムが稼働しており、さらに通信機能も持たないような古い機器も数多く存在する。こうした環境ではまず、通信機能を持たせてデータを一元的に取得するということが非常に難しい。「Pro-face IoT Gateway」はこうした障壁を下げ、既存の設備を大きく変更せずにデータを取得可能とすることが特徴だ。
もともとデジタルでは表示機器を展開していたため、さまざまなPLCの情報を最適に表示する技術を保有しており、その技術リソースを生かした。現状では、三菱電機、オムロン、ファナック、富士電機、安川電機、東芝機械、パナソニックデバイスSUNX、横河電機、キーエンス、シーメンス、日立製作所、Modbus-IDAなどの特定機種に対応しているという。価格は1台当たり12万〜13万円としている。
シュナイダーエレクトリック マーケティング本部 本部長の永坂良太氏は「提案を開始しているが非常に反応は良い。日本国内には特に古い機械を多く抱える工場が数多く存在しており、そうした企業から引き合いが強い」と述べている。
一方、プロセス系SCADAとして評価を得ている「Wonderware」についても新たなインタフェースを紹介。従来は現場環境を再現するOT(制御技術)中心のインタフェースとなっていたが、新たにカメラの情報や地図情報などIT(情報技術)を使って取得するような情報も一元的に表示できるダッシュボード化を推進。新インタフェースは現在開発中だが「早ければ2017年夏頃、遅くても2017年中にリリースする」(担当者)としている。
その他、国内での本格展開はこれからだが、シュナイダーエレクトリック製のコントローラーラインアップなども展示。スマート工場領域での総合的な提案を今後強化していく姿勢を示した。
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