ウインドリバーは自動運転システムやコネクテッドカーに向けたソフトウェアのプラットフォームの提案を強化する。今後は、車両1台のコストのうちソフトウェアが半分以上を占める見通しで、自動車のサプライチェーンが変わっていくという。
ウインドリバーは2017年5月17日、東京都内で記者説明会を開き、自動運転システムやコネクテッドカーに向けたソフトウェアのプラットフォームについて紹介した。今後は、車両1台のコストのうちソフトウェアが過半数を占める見通しで、自動車のサプライチェーンが変わっていくという。
「ソフトウェアがクリティカルコントロールポイントになっていく。従来のティア1サプライヤーの役割が明確でなくなり、誰がシステムインテグレーターを務めるのかが問題になる。ソフトウェア会社が自動車メーカーと直接やりとりするビジネスモデルに変わる」(ウインドリバー米国本社 Connected Vehicle事業部 プロダクトマネジメント統括のアラヴィンド・ラトナム氏)
ウインドリバーは自動運転システム、無線ネットワークによるアップデート(OTA:Over-The-Air)、コックピットに向けたソフトウェアプラットフォームを開発した。同社のリアルタイムOS「VxWorks」や組み込みLinux「Wind River Linux」をベースにしている。現在、プロトタイプを自動車メーカーに提供中だ。
自動運転システム向けのソフトウェア「Drive」は、レベル3〜5の自動運転をカバーする。自動車向けの機能安全規格ISO 26262で最も厳しい安全要求レベルASIL Dまで対応している。ここでいうレベル3〜5のイメージは、レベル3は渋滞時に適切に車線変更しながら走行する、レベル4はドライバーがクルマを降りたあとに自動駐車する、レベル5は走行中にドライバーが運転以外の作業をしていてもよいといったものだ。
「自動運転のレベルによって、必要になるセンサーやアルゴリズム、アルゴリズムを動かすためのミドルウェアが変わってくる。われわれはOSとミドルウェアに注力する。プラットフォームとしてレベル4〜5の自動運転システムをサポートしていく。既に、ある自動車メーカーとレベル4の自動運転システムを開発中だ」(ラトナム氏)。ただし、量産車への搭載時期は、センサーの進化にもよるので明言できないとしている。
ソフトウェアエクステンションを使うことで、FPGA、GPU、CPU、ハードウェアアクセラレーターのそれぞれにソフトウェアを実装できるようにする。なお、最適化できるのはCPUとFPGAに限られる。
OTA向けのソフトウェア「CARSYNC」は、自動車メーカーからの更新情報を受け取った時に、テレマティクスコントロールユニット(TCU)を通じて各ECUを安全に更新する。CARSYNCはセキュリティ規格に準拠して開発したとする。「COCKPIT」は、オープンソースのAutomotive Grade LinuxやGENIVIに準拠しており、インフォテインメントシステムの開発効率化に貢献する。
ラトナム氏は、「シャシー制御からインフォテインメントシステム、OTAまで車両全体のソフトウェアを手掛けられるのがわれわれの強み。ワンストップで完結することを自動車メーカーも好む。(親会社の)インテルの技術ポートフォリオをフル活用して自動運転の実現に貢献する」としている。
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