しかし、ここにきてNEV規制を当初の2020年から前倒しして2018年から実施するなど、「新エネ車を生産・販売しないと、罰金もしくは他社からクレジットを購入しなければならない」といったムチの要素が加わってきた。
これは今後さらに厳しくなると予想する。NEV規制では、現在ガソリン車の生産台数に対する新エネ車の生産台数の比率を2018年に8%、2019年に10%、2020年に12%へと引き上げる規制値が発表されている。筆者の予想では、2030年頃まで年率2%もしくは2.5%で目標が上積みとなる。米国のZEV規制は、現時点で2025年の環境対応車の比率は22%が上限となっているが、中国では新エネ車普及が喫緊の課題となっており、これ以上に引き上げるのではと推定する。
また、かなり大胆な未来予想図であるが、2030年の新エネ車は1500万台になると推定する。その根拠となるのは過去の実績で、2016年は自動車販売台数2800万台、新エネ車50万7000台で、新エネ車の比率は1.8%である。また、中国国家戦略である第13次5カ年計画(十三五:2016〜2020年)が終了する2020年には、自動車販売台数3000万台に対し新エネ車が200万台で、新エネ車比率6.7%とする目標が公表されている。
さらに、ここからはどこまで調整された数値か分からないが、「自動車産業中長期発展計画」の中では2025年に、自動車販売台数3500万台に対して新エネ車700万台、比率20%を想定している。これら過去の実績および公表された数値などにより、筆者は2030年に自動車販売台数4000万台、新エネ車はこれまでの伸び率から1500万台に達すると推測した。
この数値は意味がある。つまり、新エネ車を除いたガソリン車は2500万台となり、2015年の自動車全体の販売台数と同規模となる。中国政府が次世代の自動車産業政策を考える時には「産業振興と環境の両立」が命題となるであろう。自動車販売台数が増加しても、新エネ車を急伸させ、ガソリン車の総数はこれまでと同等に維持したいと思うのではないだろうか。
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