東芝は原子力発電所関連子会社の米国ウェスチングハウスが、米国連邦倒産法第11章に基づく再生手続きを申請したことを発表した。東芝の2016年度の当期純損益は1兆100億円になる可能性がある。
経営不振に陥っている東芝は2017年3月29日、大幅な減損で債務超過の最大の要因である米国ウェスチングハウスエレクトリックカンパニー(以下、WEC)およびその関係企業群が米国連邦倒産法第11章(日本の民事再生法に当たる、以下、連邦倒産法)に基づく再生手続きを申請したことを発表した。
東芝では、WECが建設中の米国原子力発電所2サイトにおいて建設遅延などでコストが増大。さらに、WECを通じて2016年1月に買収した、原発の建設やサービスを手掛ける米国CB&I ストーン&ウェブスター(S&W)における大幅なのれん代の減損で債務超過に陥るなど、WEC関連の見込み違いが大幅な経営悪化につながっている。東芝では、こうした現状を考慮し、連邦倒産法によりWECを連結対象から切り離す。
WECの負債総額は98億1100万ドルでその内、12億8700万ドルは東芝グループに対する債務となっている。WECでは当面の事業継続のために8億ドルのDIPファイナンスを確保し、東芝はそのうち2億ドル対して債務保証を行う。
WECの再生手続きの開始により、米国の原子力発電所建設プロジェクトにおける親会社保証が発生。親会社保証額が契約上の全額引き当てとなった場合は6500億円規模の営業外損失が発生する。さらに債務の全額である1756億円の貸し倒れ引当金を見積もった場合、東芝が2017年2月14日に公表した2016年度(2017年3月期)の業績見通しに対し、当期純損益ベースで6200億円規模の追加悪化が発生する。
この結果2016年度の当期純損益は、前回公表時の3900億円の赤字から、1兆100億円の赤字になる可能性があるという。さらに株主資本ベースは、前回公表時の1500億円のマイナスから6200億円のマイナスに、純資産ベースでは1100億円のプラスから3400億円のマイナスとなり、大幅な債務超過に陥る可能性が生まれている。
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