「リテールテック2017」では、NECと富士通が小売店舗でのロボット活用に関する提案展示を行った。それぞれロボットの形は違うものの、陳列棚の品切れ確認が最初の用途になりそうだ。
流通業のサプライチェーンとマーケティングを進化させるIT機器・システムを紹介する展示会「リテールテック2017」(2017年3月7〜10日、東京ビッグサイト)では、NECと富士通という国内大手ITベンダー2社が、小売店舗でのロボット活用に関する提案展示を行った。
NECは、同社が得意とする画像認識技術と、米国ベンチャー・Fetch Roboticsの倉庫用ロボットを組み合わせた店舗業務支援ロボットシステムを展示した。
同システムでは、店舗の天井部に設置したカメラを使って陳列棚の商品の品切れを認識する。品切れしている商品の情報は店舗のバックヤードに送られるので、担当者はロボットの上に搭載されている棚に品切れしている商品を置けばよい。その後、ロボットは陳列棚まで移動し、店舗内のスタッフがロボットの棚に置いてある商品を補充する。「この形を商品化するのではなく、店舗の業務支援にロボットをどう活用していくかのたたき台としての提案だ」(NECの説明員)という。
富士通は、「MATEY」と名付けた自律型店舗ロボットソリューションを参考出展した。MATEYはカメラを搭載しており、あらかじめ作成した店舗マップをもとに店舗内を自律巡回する。その際に、商品が品切れになると陳列棚の奥から見えるQRコードをカメラで検知して、店舗スタッフが持つタブレット端末などに知らせる。また、期間限定セールの価格変更などPOPに関する情報の把握や、店舗内における人の動作や滞留、属性なども取得できる。
現在、MATEYは一部ユーザーの店舗で実証実験を行っている。「ロボットそのものは画像認識を行うカメラを含めて高度な技術は使っておらずかなりコストを意識した作りになっている。今後の人手不足が進む国内の労働市場を考慮しつつも、顧客から求められる『時給でいくら』『店舗の生産性をどれくらい上げられるか』という要求にどう応えるかが課題だ」(富士通の説明員)という。
当初は閉店中の夜間などにMATEYを使用することになりそうだが「店舗スタッフと協働するような使い方も検討していきたい」(同説明員)としている。
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