ロボットとエレベーターの通信連携可能とする規格策定、メーカー間の壁を解消へ:サービスロボット
経済産業省は2021年6月4日、ロボットを導入しやすい環境(ロボットフレンドリーな環境)の実現に向け、ロボットとエレベーターの連携に関する規格を策定した。
経済産業省は2021年6月4日、ロボットを導入しやすい環境(ロボットフレンドリーな環境)の実現に向け、ロボットとエレベーターの連携に関する規格を策定した。
労働人口減少による人手不足が続く中、サービスロボットの普及拡大に期待が集まっている。しかし、サービスロボットは、ユーザーの環境に適応するようカスタマイズする必要があり、これが導入する際の手間やコストにつながり、普及の障壁となっている。
これらを背景とし、経済産業省と新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、NEDO)は、ロボットの価格や導入コストの低減を図るために2019年にロボットのユーザーを中心とする「ロボット実装モデル構築推進タスクフォース」を立ち上げ、ロボットフレンドリーな環境構築に取り組んできた。現在は、同タスクフォースは「ロボット革命・産業IoTイニシアティブ協議会」(以下、RRI)に組み込まれ、その中で業種(施設管理、小売、食品製造)ごとにテクニカルコミッティー(以下、TC)を設置し、さまざまな検討を進めている。
RRIによるロボット・エレベーター連携インタフェース定義。4章以降は非公開となっており完全版を読むにはRRIへ申請書と機密保持契約誓約書を提出する必要がある(クリックでWebサイトへ)
今回の発表はその一環として、施設管理TCにおいて検討されてきたものだ。施設管理の分野では、オフィスビル、商業施設、駅、ホテル、病院などの施設で、ロボットがあらゆるフロアへ自律的に移動できるように、メーカーを問わず、ロボットとエレベーターが連携できることが求められている。そのため、ロボットとエレベーター間の通信連携に関する規格の策定を行った。
規格策定に参加したのは、JR東日本商事、清水建設、大成建設、東芝エレベーター、トヨタ自動車、日本オーチス・エレベータ、日本品質保証機構、パナソニック、パルコ、東日本旅客鉄道、日立ビルシステム、Preferred Networks、本田技術研究所、三菱地所、三菱電機、森トラストの16社。
新たに策定された規格については、施設管理TC参加事業者の施設で活用していく方針だという。また、同規格を利用し、利用結果についてフィードバックを行う事業者に対しては、規格に関する詳細情報を提供していくという。今後は、これらの実利用におけるフィードバック結果も踏まえて、規格の改定を進め、国際標準化を目指していくという。
ロボット・エレベーター連携システム全体構成イメージ(クリックで拡大)出典:RRI
≫「サービスロボット」のバックナンバー
- アイリスオーヤマが法人向けロボット事業でソフトバンクと合弁会社設立
アイリスオーヤマとソフトバンクロボティクスグループは2021年1月27日、合弁会社「アイリスロボティクス株式会社」(以下、アイリスロボティクス)を同年2月1日に設立し、両社で法人向けロボット事業を展開することを発表した。
- OKIの本庄工場がAIエッジ×ローカル5Gでスマート化、工場版ZEBも実現へ
OKIは、「ワイヤレスジャパン2021」において、本庄工場(埼玉県本庄市)に導入しているAIエッジとローカル5Gを組み合わせた「外観異常判定システム」を披露。同工場は、敷地内にあるITSテストコースでもローカル5Gを用いた実証試験が可能になっている他、消費する一次エネルギーの収支をゼロにする新工場を2022年4月に稼働させる予定だ。
- シャープのAGV事業が成長する理由、コアは生産技術と集中制御システム
シャープのAGV(無人搬送車)事業が好調だ。2017年から本格的に外部販売を開始して以降、市場拡大以上のペースで順調に成長を続けているという。シャープのAGVへの取り組みについて、シャープ ビジネスソリューション事業本部 システムソリューション事業部 商品企画部 課長の井上克己氏に話を聞いた。
- エレベーターをメディア空間に、東大発スタートアップを悩ませた「通信問題」
モノづくり施設「DMM.make AKIBA」を活用したモノづくりスタートアップの開発秘話をお送りする本連載。第6回はエレベーター内にプロジェクターを導入して、動画広告などを扉に投影するサービスを展開する「株式会社東京」を紹介する。プロダクト開発時、エレベーター内に動画広告を無線送信しようと試みた東京だが、エレベーターの筐体内は想定より通信状況が芳しくなかった。
- 原点は宇宙エレベーターの夢、“曲がる”自走型ロープウェイができるまで
モノづくり施設「DMM.make AKIBA」を活用したモノづくりスタートアップの開発秘話をお送りする本連載。最終回は「曲がれるロープウェイ」の開発に取り組むZip Infrastructureを紹介する。宇宙エレベーター実現の夢から開発を始めたが、受託案件で手痛い失敗を経験したこともあった。
- 工場で広がる「無線」への期待と課題、ローカル5Gは何を変えるのか
成果が出ないスマートファクトリーの課題を掘り下げ、より多くの製造業が成果を得られるようにするために、考え方を整理し分かりやすく紹介する本連載。前回から製造現場でつまずくポイントとその対策についてお伝えしていますが、第8回では、製造現場で広がる無線通信活用の課題と生かし方について解説します。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.