シャープのAGV(無人搬送車)事業が好調だ。2017年から本格的に外部販売を開始して以降、市場拡大以上のペースで順調に成長を続けているという。シャープのAGVへの取り組みについて、シャープ ビジネスソリューション事業本部 システムソリューション事業部 商品企画部 課長の井上克己氏に話を聞いた。
シャープのAGV(無人搬送車)事業が好調だ。2017年から本格的に外部販売を開始して以降、市場拡大以上のペースで順調に成長を続けているという。新たにシステム構築が容易な小規模向けのパッケージシステム「TYPE LC」などのラインアップも追加し、さらなるカバー範囲の拡大にも取り組むシャープのAGVへの取り組みについて、シャープ ビジネスソリューション事業本部 システムソリューション事業部 商品企画部 課長の井上克己氏に話を聞いた。
シャープのAGV事業はもともと、自社工場内で内製していたAGVを2017年1月から外部提供を行うようになったことが始まりだ。シャープでは、省人化や生産性向上のために20年以上前からAGVを内製し各工場に導入しており、そこで蓄積してノウハウを生かしたという。「シャープの中で蓄積した工場などの生産技術を外部に展開する動きが出てきた中で、AGVの事業化も進んだ」と井上氏は語っている。
工場や倉庫搬送の自動化ニーズは高まっているが、労働人口減少や熟練者の不足、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策などにより今後さらに成長が期待されている。「今後はさらに加速度的に工場内の無人化や自動搬送化が高まる見込みだ」と井上氏は予測する。
こうした中でシャープでは、従来は「複数台連携が必要で難易度が高い」「ガイドレスAGV」という2つの条件を据え、中規模以上のターゲット層に絞り込んで、AGVの提案を進めてきた。これを実現できた要因が、コアとして開発したAOS(AGV Operating System)テクノロジーである。
AOSテクノロジーは、「上位システム、周辺システムとの連携」「配車管理」「走行経路管理」「交通点制御」「バッテリー充電制御」「モニタリング」「ロギング」などの7つの機能を集中制御するシステムである。AGVを使用する中で必要となるこれらのシステムを一括でパッケージ化し、それをベースに提案を進めることで、複雑な案件でも容易に短期間で構築できる。
また、AOSテクノロジーを持つことでシャープが提供する他の搬送関連ソリューションと組み合わせることも容易だ。実際にピッキングを容易にするピッキングアシストシステムとAGVとの連携なども進めている。
井上氏は「搬送をより高度に自動化しようとすると周辺システムとの連携は必須となる。その他、AGVを組み込んで自動化を進めようとすると、必ず使うシステムがある。これらをまとめて導入できるところが強みだ。一方でAGVのカスタマイズなどハードウェア領域を自由に作り替えることができる点も評価を受けている」と語っている。
これらの強みが評価を受け、シャープのAGVはさまざまな領域での導入が進んでいる。製造工場や物流倉庫が主力となっているが、野菜工場や店舗などでも導入されるケースが広がっているという。
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