これらに対応するために具体的にはどういう技術が必要になるか、経済産業省では全体像の概略を示している。ポイントとなるのは従来の事後対応から事前予知への方向に推し進めていくことである。
高橋氏は「高度なセンシングによるビッグデータの収集、人工知能(AI)による分析を生かして、異常や予知の早期検知や適切なアラームを実現する。世界に先駆けたスマート化投資を進め、装置型産業の競争力強化を実現したい」と述べている。
こうしたスマート化を促進するために経済産業省では政策として動きを支援。その1つが新たな認定事業所制度である。もともと高圧ガスを扱う高圧ガス保安法対象事業所は、1年に1度プラントを止めて県の保安検査を受けなければならない。しかし、連続運転が必須のプラントにとって、プラントを止めるのは損失が大きい。そこで自社で検査および保安の能力があると認定された認定事業所については、5年間は自社内での検査と連続運転が認められていた。
新認定制度は、プラントのスマート化を条件に、これをさらに拡大するものである。2016年11月に改正案が出て、2017年4月1日から運用が開始される。
この新たな認定制度では、高度な保安体制があると認定された事業所を「スーパー認定事業所」とし、連続運転期間を最大で8年まで認めることとなった。高度な保安体制として必要なものは、高度なリスクアセスメントの実施、IoTやビッグデータなど人の能力を補完する新技術の導入、高度な教育などである。
高橋氏は「インセンティブとしては小さいかもしれないが、メンテナンスの高度化は自社のメリットにもなるはず。制度を1つの機会として自主保安の強化を進めてもらいたい」と述べている。
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