3Dプリンタ大手のストラタシスは、試作開発に特化したFDM方式3Dプリンタ「F123シリーズ」を発表した。「3Dプリンタで28年の歴史を積み重ねてきたストラタシスが、試作開発に再び変革を起こす」(同社)という。
3Dプリンタ大手のStratasys(ストラタシス)は2017年2月6日(現地時間)、ダッソー・システムズ・ソリッドワークスの年次ユーザーイベント「SOLIDWORKS World 2017」(会期:米国時間2017年2月5日〜2月8日、ロサンゼルスコンベンションセンター)で記者会見を開き、試作開発に特化したFDM方式(熱溶解積層方式)3Dプリンタ「F123シリーズ」を発表した。既に受注を開始しており、同年3月から出荷を始める。価格は約2万米ドルから。
日本法人のストラタシス・ジャパン、販売代理店の丸紅情報システムズ、アルテックも2017年2月7日(日本時間)、国内販売開始をアナウンスしている。ストラタシス・ジャパンとアルテックは「3D Printing 2017」(2月15〜17日、東京ビッグサイト)で製品展示を行う予定だ。
F123シリーズは、造形サイズが254(10インチ)×254×254mmの「F170」、同305(12インチ)×254×305mmの「F270」、同355(14インチ)×254×355mmの「F370」をラインアップする。材料は、F170とF270がABS、ASA、PLAの3種類、F370がABS、ASA、PLA、PC-ABSの4種類を使用できる。積層ピッチは0.127mm、0.178mm、0.254mm、0.33mmの4種類を用意している。
最大の特徴は、一般オフィス内に設置しての利用を前提とした設計になる。3Dプリント時の静音性、フィラメントの交換が容易な「イージーチェンジャー」、タッチパネルによる高い操作性、スマートフォンアプリとの連携などを実現している。
また、専用ソフトウェア「GrabCAD Print」を用いることにより、3D CADデータをSTLファイルなどに変換することなく直接3Dプリントできる。会見では、SOLIDWORKS World 2017に合わせて、3D CADツール「SOLIDWORKS」にGrabCAD Printのアドインを提供することを明らかにした。これにより、SOLIDWORKSユーザーは、SOLIDWORKSの画面からそのままF123シリーズによる3Dプリントが行える。
ストラタシスによれば、試作開発の目的は大まかに「コンセプト検証」「デザイン評価」「機能テスト」の3つに分かれるという。F123シリーズは、1台でこれら3つの目的を実現できる製品として開発された。例えばデザイン評価であれば、PLAで粗めの積層ピッチで3Dプリントすれば短時間で済ませられる、一方、ASAを使ってより精細な積層ピッチで3Dプリントすれば機能テストの用途を満足させられる。
ストラタシス 米国担当プレジデントのリッチ・ギャリティー(Rich Garrity)氏は「3Dプリンタで28年の歴史を積み重ねてきたストラタシスが、試作開発に再び変革を起こす」と強調する。
また、ストラタシス CMO(Chief Marketing Officer)のティム・ボーリング(Tim Bohling)氏は、F123シリーズ投入の狙いについて「グローバルで100億〜150億米ドルともいわれる試作開発の市場において、3Dプリンタのような積層製造技術が占める割合は23%にすぎない。試作開発でさらに3Dプリンタが利用してもらうには、試作開発に特化した製品が必要だと判断した」と述べている。
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