未来の工場実現に向けては、産業用ロボットの活用領域の拡大を目指し「コラボレーション」「シンプリフィケーション」「デジタライゼーション」の3つをキーワードに掲げている。これらを具体的に見ると「コラボレーションは人と協働できるロボットに取り組むもので、これにより、ロボットがこれまで使えなかった場所への導入を目指す。シンプリフィケーションについては、今までロボットを使ったことがない初心者でも使えるロボットの開発。そしてデジタライゼーションはリアルタイムでのサポートや遠隔型のオペレーションの進化ということになる」(吉田氏)。
こうした中で2016年、旧来のリモートサービスの「コンディション監視、診断」と「バックアップデータ管理」の2つの機能に、新しく「リモートアクセス」「フリートアセスメント」「ロボット運用最適化」の3つの機能を追加したコネクテッドサービスの提供を開始した。同サービスにより障害発生が最大25%減少し、障害解決時間も最大60%短縮するなど迅速なサポートを実現している。「このコネクテッドサービスが未来の工場を実現するための1つの強力なドライバーとなる」と吉田氏は期待している。また、コネクテッドサービスが最大限活用できるようロボットサポートセンターも開設した。
協働型双腕ロボット「YuMi」も未来工場を実現するためのカギとなる製品だ。YuMiは安全柵不要の100V協働ロボットで最高水準の性能を持つ。動作のスピードが速く(1500mm/秒)しかも精度が高い。可動範囲も広く、接触で自動停止するなどの機能が搭載されている。本体のサイズも軽量/コンパクト(38kg)で多様な通信方式に対応している。プログラミングもユーザーフレンドリーでより実践的だ。
リードスルーティーチングという直感的なティーチング方式を採用している他、「ロボットスタジオ」と呼ばれるオフラインティーチングには高精度なシミュレーション機能があり、その点も大きな特徴。YuMiはこうした実践的ティーチングやプログラミングを用意し、各ツールの使い分けでより迅速柔軟なオペレーションを可能とする。講演ではYuMiと外観検査機メーカーとの連携による未来の工場の姿なども紹介した。
ABBはこれらの製品をラインアップするとともに、国内のユーザーとの協働を進める目的で「アプリケーションワークショップ」を東京に設けた。そこでは新しいアプリケーションのテスト、開発やトレーニング、シミュレーション、実機の検証などに取り組みユーザーとの結び付きを強めている。
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