設計業務の改善に取り組みたいけど、取り組みの具体的な手段が思い付かない……。そんな時はどうしたらいいか。
本記事は、CADを快適な環境で使ってもらうソリューション専門街「CADJapan.com」から転載しています。
先日、3D CADを利用したコストシミュレーションツール開発のお話で、あるお客さまの製造工場を訪問させていただきました。
コストを算出するためのコストテーブルをどのように考えるかを打ち合わせるためです。この開発の目的は、生産の上流である、開発・設計段階で加工コストを含めたコストのシミュレーションをすることなのですが、設計部門では製造にかかわるコスト算出の方法が分からないため、コストテーブルの作成は製造部門のご担当者に相談することとなりました。
昨今の不況の中、製造業においては、さまざまなコスト削減への取り組みが行われておりますが、このツールの開発に先立ち、設計現場のご担当者はこうお話ししてくれました。
「設計段階におけるコスト削減に取り組みたいのですが、技術者の多くは、人に指示されたアイデアや改善点は素直に受け入れない。自分で気付かないと直そうとしてくれないんです」――このようなお話をうかがい、ふと感じたのは、設計の現場においてもQCDの改善が求められている中で、どれだけの設計者がそれに取り組めているのだろうか?ということです。
改善に取り組みたいけど、取り組みの具体的な手段が思い付かないのが現状ではないのでしょうか?
コスト削減の取り組みにおいては製造現場の方が進んでいます。人員の削減から、生産設備の見直し等さらに厳しい現実に直面してます。製造現場のご担当者はこうお話ししてくれました。
「この夏に20人の人員整理をしました。以前までは加工機1台に1人、担当者がついていましたが、今では1人で複数の加工機を扱わなければなりません。皮肉にも、受注が落ち込んでいるので、機械自体の稼働率も落ちているのですが……」――製造の現場ではムダを「見える化」し、既にギリギリまでコスト削減に取り組んでおられるようです。
製造コストの大半が設計段階で決まってしまうといわれていますが、設計の現場においては、製造現場に比べて、ムダの「見える化」が難しく、取り組めていない企業が多いように感じられます。
例えば、CAD上で製造コストのシミュレーションができることにより、設計者は製造コストを把握した上で設計のアイデアを練ることができます。
今までは設計案ごとに加工外注や製造部門に問い合わせていた製造原価を設計者自身が素早く把握できる為、目標原価に対するさまざまな設計案を検討したり、後工程での手戻り削減にもつながることでしょう。
3D CADを中心としたITツールを利用することにより、設計業務におけるさまざまなムダの「見える化」に取り組むことができるのではないでしょうか?
(CADJapan T.K)
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