IoT/AIを活用した未来型医療の共同研究・実証を行う研究所を設立医療機器ニュース

佐賀大学とオプティムは、IoT/AIなどを活用した研究を行う「メディカル・イノベーション研究所」を設立した。医療現場の課題に対し、効率的で効果的な医療を実施する研究を行う。

» 2017年01月11日 15時00分 公開
[MONOist]

 佐賀大学とオプティムは2016年12月22日、IoT(モノのインターネット)/AIなどを活用した研究を行う「メディカル・イノベーション研究所」を設立したと発表した。未来型医療の共同研究・実証を行うための包括的な連携で、医療現場の課題に対し、同大学医学部の医学的知見と同大学医学部付属病院の臨床データおよび実践の場、オプティムのIoT/AI技術を組み合わせ、効率的かつ効果的な医療を実施する研究に取り組む。

 同研究所のコンセプトは、「いのちをつなぐメディカル・ネット 〜Net for Life〜」。未来型医療の提案、医療資源の有効活用と効率的な医療体制の構築、実行型IoT技術の導入という3つの活動方針を元に研究を進める。具体的には、AIによる画像診断支援と、緊急車両やドクターヘリにおけるスマートグラスの活用の2つのテーマから研究を開始している。

 AIによる眼底画像の診断支援では、AIに臨床画像データを画像解析させ、緑内障、糖尿病網膜症、加齢黄斑変性の早期発見・治療を目指す。佐賀大学が持つ過去の臨床画像データを匿名化し、深層学習による機械学習を新型OS「OPTiM Cloud IoT OS」のAIを用いて行うことで、コンピュータによる診断支援を実施していく。

 将来的には、OPTiM Cloud IoT OSに集積された臨床ビッグデータを活用し、眼底画像から心筋梗塞、脳血管障害やアルツハイマー型認知症など新たな疾患の発症予測を行う。また、モバイル機器による簡易診断で早期発見につなげるなど、新しい眼底診断・治療手法の創出を目指す。

 スマートグラスの活用では、オプティムの遠隔作業支援専用スマートグラス「Remote Action」を緊急車両やドクターヘリに常備する。音声のみの情報共有では、現場の状況が伝わりにくい場合がある。スマートグラスを用いることで患者の状態を搬送先の病院と共有し、救急隊員が医師から処置の指示を遠隔で受けられる状態を構築し、緊急時の適切な処置や搬送先の病院の受け入れ準備を円滑化する。

 今後は、緊急車両やドクターヘリに搭載されている生体情報の収集機器とスマートグラス、OPTiM Cloud IoT OSとの連携を目指す。同時に、映像/音声/生体情報/現在地情報などの情報を記録し、現場プロセスの見直しや技術の伝承、教育に役立てる。

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