組み付け工程も専用設備が多く、工程を集約できないのが課題となっていた。例えば、ATのメイン組み付けラインには23種類も専用設備があり、圧入/組み付けが8種類、締め付けが7種類、FIPG塗付とノイズ検査、油量調整、リーク/重量測定が2種類という構成で、いずれも専用設計の設備だ。これらがリードタイム短縮のハードルとなっていた。
組み付け工程では、これらの設備のモジュール化に取り組んだ。具体的には、設備のベースとなる部分を共通化して工程に合わせて組み合わせ、交換が必要な工具はオートツールチェンジャーの技術を活用して工程集約を図った。
この結果、設備機種は7種類まで減らした。設備の購入費用を抑えたのに加えて、設備の設計工数も削減。従来比6割減となる省スペース化を実現、リードタイムも短縮目標を達成したという。このモジュール化した生産設備は、プリウスのトランスアクスル生産ラインに導入し、稼働している。
パワートレインのTNGA化は、THS(トヨタハイブリッドシステム)、マルチステージハイブリッドシステム、ダイレクトシフト8速AT、排気量2.5lのエンジンを始め、続々と進めていく計画だ。生産設備のTNGA化も、製品展開に合わせて進展していくとしている。TNGA生産ラインは、かつてない規模とスピードでグローバルに展開していく方針だ。
近藤氏は、ハイブリッド車やプラグインハイブリッド車、電気自動車に共通したコア技術である駆動用モーターとバッテリーの生産ラインについても紹介した。
駆動用モーターは、初代プリウスに始まってモデルチェンジの度に小型/高出力化が進んできたが、「アクア」を機にモーターの巻線の組み付け工程を変えた。
従来は長い丸線コイルを巻いて束にした状態で保持し、複雑な軸に組み付け、手作業で縛って成形機でつぶす必要があった。モーターの断面を見ると、丸線のためコイルとコイルの隙間が大きくなり、コイル密度が低下、モーター全体の体格が大きくなり、エネルギーロスも大きくなる傾向があった。
新しいモーターコイルの組み付けでは、平角線コイルを使ってコイルの隙間を小さくすることで密度を高め、小型化を計りながらエネルギーロスを低減した。工程は、コの字型に成型したコイルを整列して挿入し、接合するというものだ。複数のコイルを一気に編み込む工法とすることで、組み付け工程をシンプル化し、9工程まで減らした。
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