ソラコムが既に提供しているSORACOM Airとサービス内容や価格がほぼ変わらないのであれば、KDDI IoTコネクト Airは、KDDIやそのユーザーにとってどのようなメリットがあるのだろうか。
原田氏は「2015年までは、当社の営業がお客さまに対してIoTについて説明するというような状況だった。しかし、2016年に入って、それまでとは逆にお客さまからIoTのトライアルをやりたいという問い合わせが一気に増えた。正確な数字ではないが引き合いは3倍くらいになっているという認識だ。そこで、従来の営業による手厚いサポートは継続しつつ、KDDI IoTコネクト Airという簡単に始められて、すぐに止めることもできる回線サービスも加えることとした」と説明する。
さらにKDDIが重視するのが、IoT回線サービスを起点としたアプリケーションやクラウドサービスの提供だ。「KDDI IoTコネクト Airのサービス開始までに、IoT関連で多数のアプリケーションやクラウドサービスをそろえて行く予定だ。IoTに関わる全てのレイヤーで、ピカピカに磨き上げているところ」(同氏)である。
KDDI IoTコネクト Airの通信料金は、スマートフォンと比べると5分の1程度となり、極めて安価である。KDDIにとって、KDDI IoTコネクト Airは入口にすぎず、その上層のアプリケーション/サービスこそがIoT分野の事業展開における本命といえるだろう。なお、現時点で公開されているのは、IoTから得られる2000種類以上のセンサー情報を見える化する「M2Mクラウドサービス」などに限られるため、2016年末までの同社の発表に注目する必要がありそうだ。
ソラコム社長の玉川憲氏は「2015年9月のSORACOM Airのサービス開始から現在までで、顧客数は4000社以上になった。そして、これらの顧客からのフィードバックによって、新サービスや新機能を続々追加できている。1年間で、新サービスを10種、新機能を23種発表できたのは、顧客の皆さまのおかげだ。要望の多いグローバル対応についても進めており、今回のKDDIとの協業によってさらにサービスや機能を充実させていきたい」と述べている。
ソラコムの玉川憲氏(右)と同社CTO(最高技術責任者)の安川健太氏(左)。両氏の手前には同社の採用事例の製品が並ぶ。左から、農地向けのIoTセンサー「CONNECTED FARM」、スマートフォンで撮影した孫の写真を祖父母がテレビで簡単に見られるサービス「まごチャンネル」、オンラインサポートが可能な補聴器「nessa」。一番手前にあるのは、ソラコムのSIMカード(グローバル向けと国内向け)だ(クリックで拡大)
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