リーマン・ショックによる経済不況が始まった2008年以降、製造業は逆境に立たされた。プロトラブズもそんな製造業の中の1企業だが、経済的に厳しい状況下でも着々とビジネスを伸ばしてきた。ホルト氏がCEOに就任した2014年当時、従業員数は750人、年間の売り上げが1億6500万ドルほどだった。それが2015年12月末で、従業員数は約1500人、年間売り上げは3億ドルに迫っている。
創業当初はスタートアップや小規模な企業を顧客として想定していたものの、現在はロッキード・マーティン、ジョンソン・エンド・ジョンソン、GEといった大手企業向けの売り上げが多くを占めているという。
同社がここまでビジネスを伸ばしてこられた要因として、ホルト氏は「製造業にユニークな価値を提供できたこと。新しいソリューションで、(業界が)長い間解決できなかった問題を解決してきたこと」を挙げた。
従来の部品加工業にとって、カスタムパーツ製作や小ロット生産、行く末が見えず不確実要素の多い案件の受注はリスキーといえた。プロトラブズでは、ICTによる統合システムで、見積もりから設計、解析、製造制御、CRM、マーケティング、製造管理など、業務全体を一元化してコントロールすることで、そのようなニーズに特化して対応してきた。「『デジタルデータが完全につながること』が大事であり、一部だけではボトルネックができてしまう」(プロトラブズ(日本法人) 社長 トーマス・パン氏)。
プロトラブズの社風は自由闊達であり、多様性を重視し、革新に前向きに取り組める人材を積極的に採用してきたということだ。
「従来型の製造業も、GoogleなどIT先進企業が得意とするようなイノベーションに挑むべき」(ホルト氏)。
そんな同社ではあるが、「製造業からの認知度のさらなる拡大が課題」(ホルト氏)であるという。「世界の製造業全体の中では、ごく一部の企業に利用してもらっているにすぎない。大手企業での採用も増えてはいるが、企業の中の1部門などで活用されるケースが多い。今後は、戦略的なマーケティングと営業で、インターネットPRなども駆使し、企業のリーダーにもっと広く認知してもらえるように活動していく。3D CADベンダーとの協業も検討している」とホルト氏は語った。
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