“リードタイム=加工時間”の生産状況を作り出すには、モノをためない、モノの流れを止めない、作業時間のバラツキがほとんどない、などの条件が整えば予定(計画)時間通りにモノを造り続けることができるはずです。
モノが常に流れている状態で造ることができれば、モノがたまることはありません。そのためには、動作のムダなどをはじめとする、いわゆる7つのムダ(①造り過ぎのムダ、②手待ちのムダ、③運搬のムダ、④加工そのもののムダ、⑤在庫のムダ、⑥動作のムダ、⑦不良を造るムダ)を限りなくゼロに近づけることはもちろんですが、仕掛かりが最も発生しない流れ生産方式は「1個流し」であるという結論に行き着きます。「1個流し」は、ロット待ちなどの仕掛かりも発生しません。
“リードタイム=加工時間”の生産方式は、「決めた時間通りにモノが造れる」ということを意味し、“管理の必要のない生産方式”を構築できます。従って、リードタイム短縮、仕掛かり削減、ムダ排除などが、それぞれに一人歩きしている傾向にありますが、それらは、これからのモノづくりの在り方でもある「“管理の必要のない生産方式”を構築するための手段に過ぎません。常に、目的と手段を取り違えないことが肝要です。
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連続生産における工程の日々の仕掛かり量やリードタイムの分析(流動数分析)に、図2の「流動数チャート」があります。このチャートの結果から、リードタイム短縮の手段は仕掛かり量の削減であることが理解できます。
「流動数チャート」の作成方法は、縦軸に数量、横軸に月日を記入します。毎日の前工程からの受入量を累計で記入し、併せて、毎日の後工程への送り(払い出し)量を累計で記入します。休日の場合は、受け入れ送り共に変化はなく、横の平行線になって見づらいので、休日は削除しておいた方が見やすくなります。
チャートの読み方は、同一月日上の累計受入量と累計送り量との差であるAは、当該工程の当該日の仕掛かり量を表します。また、同一数量軸上の累計受入量と累計送り量の差Bは、当該工程のリードタイムを表します。毎日のA、Bの1カ月平均が、その月の平均仕掛かり量と平均リードタイムとなります。
「流動数チャート」は、インプット、アウトプットのある現象に適用できる分析グラフです。応用例としては、以下の通りです。
MIC綜合事務所 所長
福田 祐二(ふくた ゆうじ)
日立製作所にて、高効率生産ラインの構築やJIT生産システム構築、新製品立ち上げに従事。退職後、MIC綜合事務所を設立。部品加工、装置組み立て、金属材料メーカーなどの経営管理、生産革新、人材育成、JIT生産システムなどのコンサルティング、および日本IE協会、神奈川県産業技術交流協会、県内外の企業において管理者研修講師、技術者研修講師などで活躍中。日本生産管理学会員。
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