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» 2016年09月27日 10時00分 公開

“モノづくりの神髄”を理解すれば、必ず原価は下げられる!【中編】実践! IE;磐石モノづくりの革新的原価低減手法(13)(2/4 ページ)

[福田 祐二/MIC綜合事務所所長,MONOist]

2.トヨタ生産方式の神髄の実践

 “7つのムダ”や“カンバン方式”というと、直に思い浮かぶのが「トヨタ生産方式(TPS;TOYOTA Production System)」です。しかも、バブルが崩壊した1990年ごろから長期の景気後退期に入り日本経済がどん底にあったにもかかわらず、この約25年間、トヨタ自動車は目覚しい売上高の伸びと高収益を記録しました。そのことにより、トヨタ生産方式の良さが内外に示されたこともあり、この「トヨタ生産方式」あるいは「JIT(Just in Time)生産方式」は、生産性向上と同じ意味を持つようになるほど普及しています。

 「ムダ取り」「流れ化」「平準化」「セル生産」「間絞め」「Uライン」「自働化」「省人化」など、トヨタ自動車からの情報(実際は、トヨタ自動車とは無関係のコンサルタントが作った用語もある)が氾濫し、形(かたち)ばかりの真似によって、短期的に少しばかり、生産性があがった工場も多くありました。

 しかし、トヨタ生産方式の“形(かたち)”は改善活動で大いに参考にはなりますが、“形”の物まねで終わってはなりません。この新しい視点による考え方や、改善やシステム管理などのツールなどは先行事例として参考にし、短期間に実力をつけることに役立てていく必要があります。

 また、トヨタ自動車の改善活動では、SQC(統計的品質管理;Statistical Quality Control)、TQC(全社的品質管理;Total Quality Control)、IE(Industrial Engineering)などの科学的な理論を学習した上で、これらを具体的に活用した独自の生産方式を作り出したといわれています。

 最も重要なのは、“少ない設備”“少ない投資”“全員でカイゼンする”によって、生産性を向上させることです。これらの考え方や生産方式は、仕事の本質を突いたものであって、現在でも十分にどこでも通用できます。

 「トヨタ生産方式」を現象面で細かく見ると違ったものに見えることもあります。しかし、現象面にとらわれるのではなく、本質的な問題として、自社にどれを適用するか(実は、“どれを”ではなく、どのような考え方を適用するか)を考える必要があります。そして、「トヨタ生産方式」の“理念”の側面から見た神髄を突いた進め方を行わなければなりません。

 特に今日では、「『改善』といえば『JIT生産方式』」と、その神髄を理解しないままに短絡的に考える管理者が多いことに問題があると思っています。単に「猿まね」で改善が可能であるならば、全ての会社が「トヨタ」のような業績になっているはずです。

 現に、トヨタ自動車は、そのノウハウをオープンにしてきましたが、再現できた会社は皆無に等しいとさえいわれています。世界中の企業がトヨタ自動車の工場見学にやってきましたが、トヨタに匹敵する成果を上げることは全くできていません。

 その原因は「トヨタ生産方式(「JIT生産方式」も含む)」の神髄を、そこで用いられているツールや手法であると思い違いをしているからであるというのが通説です。ここで大切なことは、「トヨタ生産方式」の神髄(本質)を理解し、その理念を実践することで自社に適した新たな生産方式の開発に腐心することではないでしょうか。その一助となる幾つかの事柄について以下で説明していきたいと思います。

 要は、「トヨタ生産方式」は、より良い品質の製品をより安く、タイムリーに提供するための生産方式であるということす。Q、C、D、全ての改善が含まれる実践的な生産システムであるということがいえます。

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