IDC Japanは、国内におけるIoTの取り組み状況について調査を実施した。結果を分析したところ、国内IoTユーザー企業のほぼ半数は「限定的導入」(5段階中、下から2番目)の成熟度にとどまっていることが分かった。
IDC Japanは、国内におけるIoT(モノのインターネット)の取り組み状況について調査し、2016年8月3日にその分析結果を発表した。
同社では、2016年4月に国内のIoT市場の成熟度についてWebアンケートを実施。従業員数1000人以上のIoTを推進する企業に所属し、IoTの意思決定に何らかの形で関与する課長職以上の163人を対象とし、「組織/人材マネジメント」「テクノロジー」「運用プロセス」「将来ビジョン」の4つの側面から調査した。その結果から、IoTへの取り組みに関する成熟度を分析した。
成熟度の評価は、IT環境の導入状況を客観的に評価するためにIDCが開発した手法、IDC MaturityScapeに基づいて行われた。特定のIT環境についてまったく導入していない場合をステージ0(未導入)とし、導入後の成熟度を、ステージ1(個人依存)、ステージ2(限定的導入)、ステージ3(標準基盤化)、ステージ4(定量的管理)、ステージ5(継続的革新)の5段階で評価するものだ。
調査結果によると、成熟度がステージ1の企業が2.8%、ステージ2が47.9%、ステージ3が36.1%、ステージ4が12.6%、ステージ5が0.6%だった。これを米国での調査結果と比較すると、日本企業の限定的導入(ステージ2)の割合は15ポイント程度高かった。一方、継続的革新(ステージ5)では米国企業の方が10ポイント程度高い結果となり、両者には大きなギャップが見られた。
国内企業で、限定的導入(ステージ2)の割合が最も多く、成熟度の向上が遅れている理由について、同社では、IoTの費用対効果が見えにくいこと、IoTに関わる技術標準が乱立しその選定が難しいこと、法規制が障壁となっていること、情報セキュリティ上の不安が払拭できないことなどが要因だと分析している。
同社では、IT技術を駆使することで企業はIoTのサービスプロバイダーになることが可能になってきており、そのためには、ITベンダーと従来のような顧客とサプライヤーの関係ではなく、ビジネスパートナーとして対等な関係を構築することが重要だとしている。
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