IoT(モノのインターネット)の進展により製造業においてもサービスビジネス拡大が期待されています。本連載ではサービスビジネスの基本的な話を分かりやすく解説しています。4回目となる今回はサービスビジネスにおけるマーケティング戦略について解説してきます。
“I'll be back”と、シュワちゃんが帰ってきます。2015年夏に公開される話題映画の1つとして「ターミネーター」があります。ターミネーターは人工知能「スカイネット」に支配された近未来から来たロボットを中心にさまざまな物語が生まれる映画です。シュワちゃんことアーノルド・シュワルツネッガー氏のヒット作としてよく知られています。しかし、最近では、ターミネーターの世界が単なるSFの世界ではなくなってきたようにも思えてきました。
既に人工知能はコンピュータとプロ棋士が対戦する「電王戦」で人間に勝利するレベルまで発達しています。また、製造現場などを見ると“ロボットがロボットを製造する”ことも現実となっています。本連載ではIoT(モノのインターネット)を切り口にサービスビジネスの基本について紹介していますが、IoTを活用した新たなモノづくりの姿を目指すドイツの国家プロジェクト「インダストリー4.0」の動きなどを見ていても、製造の単純作業における人間の関与度合いは低くなっていくように見えます(関連記事:インダストリー4.0が目指す“一段上”の自動化)。
さらに人工知能やビッグデータ分析技術が発展すると、さまざまな機器から情報を集めて集積された“ビッグデータ”を分析し、そこから因果関係を見つけ出して最適なソリューションを提供してくれるようになるというのですから、いよいよ個人レベルの頭では太刀打ちできそうにない世界が来ます。しかし一方で、新たなモノづくりの主役としてIoTに大きな期待が集まり、多くの企業が新たなビジネスを検討する上で、人間のクリエイティビティ(創造性)が求められる場面は逆に増えていくはずです。
前回の「顧客満足度はどうやって決まるのか?」では、顧客満足度を向上させるためには事前期待のマネジメントも重要であることを紹介しましたが、今回は人間のクリエイティビティが発揮される領域でもあり、決まった答えがある訳ではないマーケティングの世界に入っていきたいと思います。
製品のマーケティングを考える場合「マーケティングの4P」と呼ばれる基本的な要素があります。4Pとは「Product(製品)」「Price(価格)」「Place(場所)」「Promotion(販売促進)」の頭文字を意味していて、簡潔に表現すると「どのような製品を、いくらで、どこで、どのように売るか」ということです。
サービスについても4Pに対応する概念があり、「サービスマーケティングの7P」と呼ばれています。7Pではなく「4C+3P」という表現をする場合もあります。それぞれの頭文字の意味を下記の図に示します(図1)。
7Pも4C+3Pも基本的には同様の概念なのですが、著者としては4C+3Pの方がしっくりするので、本稿では4C+3Pをベースに紹介していきたいと思います。では次にこれらのサービスマーケティングの基本を踏まえて、IoTビジネスにおけるターゲット市場の選定について紹介していきます。
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