IoT(モノのインターネット)の進展により製造業においてもサービスビジネス拡大が期待されています。本連載ではサービスビジネスの基本的な話を分かりやすく解説しています。3回目となる今回は「顧客満足度の決定プロセス」について解説します。
春節によるピークが過ぎ、「爆買」する中国人旅行者も少なくなりました。しかし、それでも海外旅行客の姿を日本中で見掛けます。日本人でもあまり行かないようなところで海外旅行客を見かけるのはちょっとした驚きです。日本人の「おもてなし」の心が響いているのかもしれません。その意味では「サービス力」は日本人が脈々と育んできた気質ともいえます。製造業においてもモノづくりの力とこのサービスの力を組み合わせることで、さらに元気になっていくことが可能だと考えています。
さて、前回の「サービス品質は顧客満足度にどう関係するのか?」では、顧客満足度(CS)からのサービス品質を評価する10項目についてご紹介しました。
簡単におさらいしておくと、以下の10項目でした。
さて、今回はサービス品質評価項目は理解したとしても、そもそもの顧客満足度がどのようにして決定されるのかということについて考えていきましょう。
顧客満足度には基本的な「定義式」が存在します。これは製造業だけに当てはまるものではありませんが、紹介したいと思います。
顧客満足度 = (製品あるいはサービスの購入・受領・使用時の認知レベル) − (購入・受領・使用前の顧客の期待レベル)
まずは、簡単な例で説明します。ラーメン屋さんを思い浮かべてください。インターネットで紹介されているラーメン好きであれば誰もが知っているという有名店を訪れてみたとします。
そうすると、とても長い行列ができていました。「これだけ行列ができるなんて、おいしいに違いない」と期待感は高まります。行列に並ぶこと30分、ようやく席について注文した品が出てくるまでの間、心の中では「このおいしそうなラーメンを早く食べたい」という気持ちが高まっているはずです。ここまでの気持ちのことを「使用前の期待レベル」とします。
さて、それだけ待って出てきたラーメンですが、持ってきた店主の指がスープに漬かっていてまず失望します。さらに、味もスープが濃過ぎて食べている間に飽きる味だと感じたとしましょう。この気持ちが「使用時の認知レベル」ということになります。
この結果であれば、このラーメン店の満足度は当然低く、きっと後悔の念を抱きながら帰路につくことになるでしょう。つまり「食後の感想=使用時の認知レベル」が「食前のわくわく感=使用前の期待レベル」を下回ってしまえば、顧客満足度はマイナスとなり逆に悪い評判を呼ぶことになります。逆に使用時の認知レベルが、使用前の期待を上回れば、高い顧客満足度となり、リピーターの創出や口コミによる良い評判の拡散を生み出すことになります。
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