燃費に影響する要因を踏まえ、国土交通省から自動車メーカーに対し「東京から名古屋まで走行した実燃費を測定しなさい」といったお触れが出たとしましょう。
燃費値が販売台数へ与える影響はとても大きいため、最も燃費に良い季節で、渋滞などもなく完璧に走行できるまで自動車メーカーは幾度もチャレンジすると思います。言うまでもなくこれらの条件がそろうのは年に数回ほどしかありませんので、いつまでたっても新型車を発表できないことになりそうです。
仮に「測定は3回まで」というルールが設けられたとしても、自然影響によって納得した測定ができず「われわれが測定した時は向かい風が強かったので参考にならない!やり直しさせてくれ!」といった、やり直しの直訴が相次ぐのは明らかです。公道での燃費測定はとても成り立たないことがお分かりいただけると思います。
前置きが多くなりましたが、結果的に先述したような不可抗力による測定値への影響を限りなくゼロにする状況を作り出すため、実際はシャシーダイナモという屋内設備を用いて測定されます。もちろん、屋内の利点を生かし、気温や湿度は定められた基準内に設定されます。
シャシーダイナモは前輪と後輪がローラーの上に位置するようにセットされた状態で走行しますが、実際の道路を走行する場合に比べると異なる環境になってしまいます。そのため、車種特有の空気抵抗はもちろん、車重やタイヤの転がり抵抗などをしっかりと反映する必要がありますので、自動車メーカー各社に対して定められた条件下で測定した「走行抵抗値」の提出が義務付けられています(道路運送車両の保安基準を定める告示【2012.03.30】 別添42 軽・中量車排出ガスの測定方法)。
この「走行抵抗値」は昨今話題になりましたね。法令とは異なった方法で算出した値としっかり測定した値に結果的に大きな差がなかったとしても、「定められた条件下」での測定が義務付けられていますので、順守しなければルール違反になってしまうのは致し方ありません。
不公平が生じないようにどのような詳細な算出結果を求められているかというと、私が苦手な細かな計算式が数十ページにも渡って続きます。
詳細な計算式等をご覧になりたい方はこちらをご覧ください(軽・中量車排出ガスの測定方法)。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.