同カンファレンス2日目の午後のテクノロジーセッションでは、高精度3次元地図についてドイツのHEREと、トヨタマップマスター/ゼンリン/インクリメントPの日本勢がパネルディスカッションに登場した。会場からは、インターネットを通じてさまざまな質問や意見が投稿され、会場全体が一丸となった議論が繰り広げられた。
日本勢を代表して、ゼンリンは2016年6月に設立した「ダイナミックマップ基盤企画会社」の事業概要を説明した。その上で、日系地図メーカー3社がダイナミックマップにおける「協調領域と差別化要因」についてそれぞれの意見を述べた。だが、収益性を確保できる「明確な差別化事業」を提案した企業はいなかった。
一方で、HEREは自社のHDライブマップがレイヤー別で構成されており、フルスペックからADAS専用まで、用途に応じて取り出せる点を強調。また、同社がセンター クラウド インタフェースと呼ぶシステムが、既に欧州のERTICOで標準化の協議に入っており、日本のダイナミックマップマップとHEREとの「協調」が必然ではないか、と述べた。
今回、2日間のカンファレンスを通じて、度々「社会受容性」という言葉で出てきた。だが、筆者の印象では自動車メーカーやティア1サプライヤが言う「社会受容性」は、モノ作りの視点での社会に対する「すり合わせ」に思える。
需要に対しては、仕向け各地で一般人を対象としたアンケート調査を行っているが、現状で一般人の中に自動運転に対する見識が不足しており、そこから得たアンケートデータの信頼性に課題が残ると考えられる。今後は、自動車メーカーやティア1サプライヤは、社会における自動運転の需要を精査することが必要だ。
そして、国連やNHTSAなどによる法整備だけではなく、ヒューマンファクター(人的要因)を優先した、真の意味での「社会に必要な自動運転」の議論が必要だと強く感じた。
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