自動車市場の成長を支えるのは既に成熟し切った日米欧ではなく新興国だ。本連載では、その新興国各国のモーターショーや開催都市の自動車事情を紹介していく。第1回は、世界最大の自動車市場となって久しい中国の首都・北京で開催された「第14回北京モーターショー」のレポートをお送りする。
世界の自動車産業をリードするのは日米欧、そして韓国のメーカーというのは間違いありません。しかし、今や国別のマーケットでは中国が最大ですし、他の新興国も経済発展とともに市場が拡大を続けていることは皆さんご存じの通り。世界中の大手自動車メーカーが、グローバル戦略のなかで新興国を重要な市場と位置付け、専用車種を投入しています。
そこで本連載では、そうした新興国各国のモーターショーの様子、それに開催都市の自動車事情や交通事情などをざっくりと紹介することで、日本や欧米にいてはなかなか実感できないグローバルな自動車産業の側面を紹介できればと思います。
2016年4月下旬、北京市郊外にある見本市会場「中国国際展覧中心新館」で開催された「第14回北京モーターショー」。今回はこのイベントの模様をお伝えしたいと思います。この会場は8年前の第10回から使用され始め、少しずつ拡張を続けています。主催者の発表によれば、今回の展示面積は22万m2を突破したとのこと。
ちなみに2015年の東京モーターショーの展示面積は8万660m2。ですから、東京モーターショーのおよそ3倍の広さと言えば、会場の規模をある程度は想像していただけるかと思います。ただし中国地場の国内自動車メーカーの数が非常に多いため、1ブランドあたりのブース面積はさほど広くありません。小規模メーカーの整理/統合も少しずつ進んでいるとはいえ、今回の出展ブランド数は国内外合わせて「100以上」ということで、展示ホール内は非常に密度の高い空間となっていました。
ここで、背景となる中国の自動車市場についても紹介しましょう。中国汽車工業協会の統計によれば、2015年の中国市場の自動車販売台数は2459万7600台。このうちトラックやバスといった明確な商用車を除き、乗用モデルに限って見れば2114万6300台。ここには「微型車」と呼ばれる、日本では軽バンに相当する貨客両用車も含まれます。
一方、地域別販売台数で2位の米国は、ライトトラックに分類されるピックアップトラックやSUVを含めて1747万500台ですから、その差は367万台超。しかし13億を超える人口を考えると、中国の自動車普及率はまだまだ米国に及びません。いくら景気が減速しているとはいえ、この膨大な人口全ての購買力が萎むことは考えづらく、1位の中国と2位の米国の差はさらに拡大していくことになるのでしょう。
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