もちろん中国地場の大手メーカーは、技術開発力が必要だと考えています。そこで世界中の開発企業やサプライヤと提携して少しずつ力を蓄え、同時に自信をつけてきているというのが現状のようです。例えば広州汽車では、Porsche Engineering(ポルシェエンジニアリング)をはじめとした幾つかの欧州企業の協力で独自プラットフォームを作り上げた、ということを語ってくれました。「確かにまだ独力で全てを開発することはできない。でも私たちが仕様を決め、どこのコピーでもないオリジナルなプラットフォームを手に入れたのだ」とのことです。
北京汽車グループで新エネルギー車を手掛ける北汽新能源では、燃料電池エクステンダーEVのメカニズムや、小型ガスタービンを発電機に使用するレンジエクステンダーEVの模式図が展示されていました。
またデザイン部門は、エンジニアリング領域よりも早く自主開発能力が備わったようで、デザイナーたちは自社のデザインについて熱心に語ってくれました。これは提携する外資メーカーから提供されたプラットフォームやモノコックをベースに、いかに独自の個性を表現するかということを以前から手掛けていたおかげかもしれません。上海汽車や奇瑞汽車など、ブランドアイデンティティーやブランド固有のデザイン言語を打ち出し、アピールするメーカーはどんどん増えてきています。そうした企業の努力の成果が、いよいよ表舞台に躍り出る時期になったのだな、というのが今回のショーの印象です。
もちろん開発能力に乏しい一部のメーカーでは、リバースエンジニアリングで得たとおぼしき、どこかで見たようなモノコック形状や意匠を持つものも存在します。ただそうした企業が今後大きく飛躍することはないのだろうと確信できるくらい、中国地場大手の積極的で貪欲な姿勢が目立っていました。
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