MRJ欧州企業と初の購入合意、欧州での基盤拡大に弾み製造マネジメントニュース

三菱航空機はスウェーデンの航空機リース会社であるロックトンと、ジェット機「MRJ90」の最大20機購入で基本合意に至った。これでMRJの合計受注機数は447機となった。

» 2016年07月12日 19時00分 公開
[加藤まどみMONOist]

 三菱航空機は2016年7月11日、スウェーデンの航空機リース会社であるロックトン(Rockton)から「MRJ90」を最大で20機受注することで基本合意したと発表した。20機のうち確定が10機、オプションが10機。欧州企業による購入は今回が初めてとなる。三菱航空機 代表取締役社長の森本浩通氏は「欧州のリース会社であるロックトンと基本合意に至ったことは、欧州での顧客基盤の拡大に向けて大きな弾みとなる」と語っている。

 今回でMRJの合計受注機数は447機(確定243機、オプション180機、購入権24機)となった。購入予定の企業は航空会社の6社およびリース会社の2社となる。なおMRJの損益分岐ラインとされているのはおよそ1000機。航空機リース会社との基本合意は今回で2社目となった。

騒音・排出規制の厳しい欧州に適している

 ロックトンは1998年に設立されたスウェーデンの航空機リース会社。リージョナルジェット旅客機のリースを手掛けている。なおリージョナルジェットは50〜100席程度の比較的近距離の地域路線を中心に使用される旅客機。同社は現在スウェーデンのサーブやカナダのボンバルディアなどの機体28機を所有している。同社へのMRJ90の納入は2020年に開始される予定だ。

 ロックトン プレジデントのニクラス・ルンド氏は「MRJは騒音および排ガス規制の要求が厳しい欧州の市場での運航に適している。航続距離も長いため、リージョナルエアラインは地方空港をつなぐ新規路線を開設できるようになる」と語っている。またMRJを選択した理由について、客席の快適性や最先端のプラット&ホイットニーのPW1200Gエンジンを採用していること、70〜90席の旅客機カテゴリにおける経済性の高さなどを挙げている。

 森本氏は「欧州でのMRJ拡販に向けて強力なパートナーを迎え入れられたことを大変うれしく思う。ロックトンの専門性と最新鋭のMRJを組み合わせることで、欧州の航空機リース市場に新たに足場を築くことができる」としている。

 MRJは初の国産ジェット旅客機。客席が90席クラスのMRJ90と70席クラスの「MRJ70」の製造を進めている。2015年11月に試験初号機の初飛行、2016年5月に試験2号機の初飛行を実施した。顧客への機体の引き渡しは2018年に開始予定だ。

ロックトンはMRJを購入する初めての欧州企業となる(出典:三菱航空機)
基本合意書に調印する三菱航空機 代表取締役社長 森本浩通氏(左)とロックトン プレジデントのニクラス・ルンド氏(出典:三菱航空機)

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