富士通テンは、「富士通フォーラム2016 東京」において、視線検知やスピーカーを活用した運転支援技術を紹介した。わき見している場合には強い口調の音声で注意喚起したり、視線の移動量から運転の負荷を推定してメールの通知など緊急性の低い情報提供を控えたりする。
富士通テンは、「富士通フォーラム2016 東京」(2016年5月19〜20日、東京国際フォーラム)において、視線検知やスピーカーを活用した運転支援技術を紹介した。わき見している場合には強い口調の音声で注意喚起したり、視線の移動量から運転の負荷を推定してメールの通知など緊急性の低い情報提供を控えたりする。
実際の車両に設備を搭載して運転支援技術を紹介した。視線検知は、メータークラスタ下部に搭載したカメラで行う。デモンストレーションの前には、車両前に設置したディスプレイ画面上の点を目で追うなどしてキャリブレーションを実施した。富士通テンの視線検知は見ている点を検出するが、富士通では視野の広さもセンシングする技術を開発している。
視線検知によって、内容やタイミングなど最適な情報提供を実現する。例としては、飛び出し多発地点が近いことを音声で注意喚起する場合、飛び出しがないか注視していれば「この先、飛び出し多発地点があります」などのように通常のガイダンスとなる。視線が前方に向いていないことを検知した場合は「飛び出し注意!」と通常よりも強い口調で大きめの音量で注意を促す。
また、視線の移動量や位置情報から運転の負荷を推定する取り組みも行っている。例えば、交差点での右折は対向車両や右折した先の横断歩道の状況などに目を配るため視線の移動が多くなる。さらに、自車が交差点内にいるという位置情報も基に、運転の負荷が大きい状況であると判断すると、メールの着信通知など緊急性の低い情報の通知を控え、運転の妨げとならないようにする。デモンストレーションでは、右折待ちの間に届いたメールを右折後に通知する様子を紹介した。
将来的には、車両の周囲をセンシングした結果を基にして、混雑時の運転負荷も考慮した情報提供を行えるようにしていく。
デモ車両に搭載したカーナビゲーションシステムは有機ELディスプレイを使用した。「画面を薄くできるので、車載情報機器のデザイン性向上の手段の1つとして検討している」(富士通テン 説明員)という。
自車の後側方から近づいてくる自転車の存在を、音で知らせるデモンストレーションも行った。警告音はシートのヘッドレスト両脇に設置したスピーカーから流れる。左側後方から自転車などが接近してきた場合は左側のスピーカーから警告音が聞こえるようにすることで、直感的に判断しやすくする。
シートにスピーカーを取り付けているのは「あくまで試験車両としてのやり方。実際の量産モデルにこの形で搭載するのは難しい」(同社 説明員)。
今後は、このデモ車両に搭載した運転支援技術の効果を実走して検証していく。「今は車両の前に置いたディスプレイで公道の映像を表示しながら安全な情報提供の手法を検討している段階。当然、実際にクルマを走らせながら効果を確かめる必要がある」(同社 説明員)。
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