キヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)グループは、介護スタッフによる高齢者の運動機能測定を効率化するシステム「ロコモヘルパー」を開発した。今後3年間で、累計1000施設の介護予防関連事業所への納入を目標としており、「ロコモーティブシンドローム(運動器症候群、ロコモ)」予防への貢献を目指す。
キヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)とキヤノンITSメディカル(キヤノンIM)は2016年5月31日、介護予防を手掛ける事業所の介護スタッフによる高齢者の運動機能測定を効率化するシステム「ロコモヘルパー」を開発したと発表した。同年6月1日から、両社とキヤノンシステムアンドサポート(キヤノンSS)などキヤノンMJグループを通じて販売を開始する。価格は、ノートPCやセンサーとなる「Kinect」、ロコモヘルパーのソフトウェアなどを含めて60万円から。保守価格は年間で3万円(価格はいずれも税別)。発売から3年間で、累計1000施設の介護予防関連事業所への納入を目標としている。
ロコモヘルパーは、キヤノングループが2015年11月に開催したプライベートイベント「Canon EXPO 2015 Tokyo」で先行公開していた技術を商品化したものだ。市販の赤外線深度センサー付きカメラであるKinectを使って測定対象となる人物の骨格情報を取得し、厚生労働省が定める介護予防マニュアルに基づいて選定した5つの運動機能測定種目を自動で測定することができる。従来は、運動補助、歩行距離の測定、歩行時間の測定を担当する3人の介護スタッフが必要だったが、ロコモヘルパーを使えば介護スタッフ2人でも測定できるようになる。
さらに、手作業だった測定内容の記録もノートPC上で自動で行われるとともに、評価レポートを自動作成することもできる。測定時に記録した映像を用いれば、測定対象者の体力的に課題となっているポイントを分かり安く伝えられるというメリットもある。これらの効果により、運動機能測定にかかっていたコストや時間を30%以上削減できるという。
ロコモヘルパーの開発元兼販売元となるキヤノンIM 取締役 企画管理本部 本部長の伊原彰人氏は「介護予防関連事業所では、デイサービスなどで3カ月ごとに運動測定を行っている。この運動測定は長時間で、作業負荷もかなり大きいと聞いているが、ロコモヘルパーを使えばそれらを大幅に削減することができる。介護スタッフの皆さまには、被介護者へのケアや最適な介護プログラムの作成など、本来業務に時間を割いていただけるのではないか」と狙いを語る。
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