ロコモヘルパーが目指しているのは「ロコモーティブシンドローム(運動器症候群、ロコモ)」の抑制である。ロコモーティブシンドロームとは、運動器の障害によって自律度が低下し、介護が必要となる危険性の高い状態であり、これを抑制できれば高齢化社会における健康寿命を延伸できる可能性を高められる。
キヤノンMJグループは2020年を目標とする「長期経営構想フェーズIII」の独自成長領域として、医療ソリューションに注力する方針を示している。そして、医用画像システム(PACS)や電子カルテシステムといった既に採用実績のある事業に加えて、今回発表したロコモヘルパーを皮切りに介護システム事業に新たに参入することになる。介護システムの国内市場規模は215億円とされているが「ロコモヘルパーは従来にないシステムだ。今ある介護システム市場に参入するというよりも、これから新たな市場を作り出していくというイメージになるだろう」(伊原氏)という。
ターゲット市場は、全国にある介護予防サービス施設4万2929カ所と、居宅サービス施設4万5174カ所。メインターゲットは介護予防サービス施設になる。実証評価に協力したソラストは、全国46カ所の介護予防サービス施設への導入を決めている。聖隷福祉事業団も導入を検討中だ。
伊原氏は「パナソニックや富士通も、介護予防向けの類似したシステムを開発/販売する方針を示している。それらのシステムは『楽しく運動する』ことを目的にしているが、ロコモヘルパーはあくまで測定/分析システムとして販売していきたい。価格も受け入れ可能なものに設定できたと考えている」と述べている。
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