ヴァンドルー氏は「われわれの提案は絵に描いた餅ではない。既に多くの採用事例が出ている」と成果を強調する。その代表例となるのが、フランスの重電メーカーであるAlstom(アルストム)の車両製造工場だ。生産プロセスにデルミアの製品群を全面的に採用することで、生産準備の段階で10%、生産現場でも5%の効率向上を実現した。また、品質やリードタイムなど数値化しづらい面での向上も図れているという。この他、韓国の重工メーカーDoosan(ドゥサン)の事例もある。
加えて日本国内の採用事例も出てきている。ヴァンドルー氏は「詳細は話せないが、ある日本の自動車メーカーもデルミアを大規模に採用する方針を決めている。計画から実行、最適化にわたって、グローバルなオペレーション管理を行える点が評価されたのだろう」と分析する。
日本法人のダッソー・システムズでDEMILA事業部のディレクターを務める藤井宏樹氏は「2015年の後半から、国内顧客から課題解決のための相談を多くいただくようになった。ダッソー・システムズの事業はSIヤーがパートナーになることが多いが、デルミアの事業についてはコンサルティングファームと協力するようになっている。これも“課題解決”を求められているからだ」と語る。
デルミアは業績面の成果も顕著だ。ここ数年は毎年2桁成長を遂げている。「2桁と言ってもかなり大きい数字の2桁」(ヴァンドルー氏)だという。
最後にヴァンドルー氏は、IoTトレンドの中でのITベンダーとの競合について、「ダッソーのDNAは製造業にある。デルミアの計画分野製品で役割ベースのモデルを提供しているのは、工場の現場にいる各役割の人々を助けたいからだ。私自身は製造業出身だが、現場を助けるという考え方がなければ、ダッソーに入社していなかった。だからこそITベンダーとの競合は恐れてはいない」と述べている。
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