Dassault Systemesが展開する「3Dエクスペリエンス・プラットフォーム」の中でも、工場における生産革新を担うDELMIA(デルミア)ブランドの製品群が果たす役割は大きい。同ブランドCEOのギヨーム・ヴァンドルー氏に、デルミアの強みや採用事例などについて聞いた。
IoT(モノのインターネット)、インダストリー4.0、インダストリアルインターネットなど、製造業におけるIT活用を進めるための取り組みが急加速している。かつて、エンタープライズITと製造ITが明確に分かれていた時代からは打って変わって、今や製造業×ITの市場は戦国時代のような様相を呈している。
製造ITのビッグネームであるDassault Systemes(ダッソー)にとって、この環境変化はリスクである一方、チャンスにもなっている。同社は、3Dデータを基軸に製造業を支えるプラットフォームとして展開する「3Dエクスペリエンス・プラットフォーム(3D Experience Platform)」の強化によって対応する構えだ。中でも、工場における生産革新を担うDELMIA(デルミア)ブランドの製品群が果たす役割は大きい。
同社でデルミアのCEOを務めるGuillaume Vendroux(ギヨーム・ヴァンドルー)氏は、「今まさに新たな産業革命が起ころうとしている。一般ユーザー1人1人が自身にカスタマイズされた製品を要求するようになっており、製造業がその要求に対応しようとすると工場の生産システムは高コストで複雑なものになっていく。その一方でITを活用したサービスで成功している企業が製造業にプレッシャーをかけるような状況も生まれている。製造業が現在抱えているさまざまな課題を解決するには、デジタルツールの活用やデジタル化の採用が必要になる」と語る。
ヴァンドルー氏の言うデジタル化とは、バーチャルな工程計画や、IoTを活用した生産システムからの情報取得、生産を実際に行う際の最適化などのことだ。デルミアはそれぞれ対応したツールを提供しているが「真にデジタル化を使いこなすには、工場の現場のオペレーションを詳細に理解しなければならない。そのためにIoTがあり、接続性がある。複雑に刻々と変化するコンテキストを理解することが鍵になる」(同氏)という。
デルミアの製品群は大まかに「計画」「実行」「最適化」という3つの分野に分かれている。計画分野は、デルミアが長年扱ってきた3Dモデルを用いた工程計画ツールになる。用意されている3Dモデルは「Digital Manufacturing Roles」として、実工場におけるスタッフの役割に対応している。ダッソー デルミア R&D バイスプレジデントのPascal Lecland(パスカル・レクラン)氏は「いわゆるバーチャルツインを簡単に実現できるようになっている」と説明する。
現在、デルミアブランドの成長を支えているのが、2013年に買収したApriso(アプリソ)製品群を中核とする実行分野だろう。「バーチャルの工場と実際の工場、両方の情報をアプリソで管理することができる」(レクラン氏)。また生産だけでなく、物流、品質、メンテナンスなどもカバーしている。
最適化分野は事前と実行中という2つの段階で内容が異なってくる。レクラン氏は「事前の段階は『何をどのように(What、How)』ということが注目されるが、実行中の段階では『いつどこで(When、Where)』が重要になる。これらのうち、いつどこで(When、Where)をカバーするため買収したのがQuintiq(クインティック)だ」と述べる。
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