マツダは、中国の生産拠点、長安マツダ汽車に水性塗装設備を導入した。水性塗装ラインを設けるのは宇品第1工場に続き2カ所目で、海外では初となる。国内工場で培ったノウハウを水平展開することにより、設備工事や塗料開発を最小限に抑えた。
マツダは2016年4月14日、中国の生産拠点、長安マツダ汽車に水性塗装設備を導入したと発表した。水性塗装ラインを設けるのは本社宇品第1工場(広島市南区)に続き2カ所目で、海外では初となる。VOC排出規制の強化に対応する。国内工場で培ったノウハウを水平展開することにより、設備工事や塗料開発を最小限に抑えた。長安マツダ汽車では「ソウルレッドプレミアムメタリック」などの高意匠な色を含め、全てのボディカラーで国内工場と同等の塗装品質を実現する。
車体の塗装工程では揮発性有機化合物(VOC)を多く含む油性塗料を使用しており、塗装工場から排出されるVOC排出量の削減が課題となっている。VOC対策としては水性塗料への置き換えがあるが、水性塗装は乾燥工程などが必要で、CO2排出量が増加するというデメリットがある。
マツダはCO2とVOCの両方の排出を抑制する水性塗装技術「アクアテック塗装」を開発、宇品第1工場に2009年から水性塗装ラインを設けた。油性塗装と並行して稼働させながら水性塗装の適用を拡大し、2012年に水性塗装に完全に移行した。
アクアテック塗装は、中塗りが担う機能を上塗り塗装に使うウレタンクリア塗料に集約し、塗装工程を効率化するもの。ベースの水性塗料は発色性や耐候性を従来の油性塗料以上に高めている。これらの高機能塗料と高精度な塗布技術を組み合わせることで塗り重ねる回数を削減し、塗装工程を短縮している。
また、塗装ブースの空調は外気温に応じて加温と湿度調整を最小限に抑え、水分の蒸発スピードをコントロールすることで消費電力を低減した。さらに、加温して水分を蒸発させた後に車体を冷やすクリア塗装後のフラッシュオフ工程では、出力を調整しやすい遠赤外線ヒーターを使用する。塗膜表面を効率的に乾燥させることができるため、従来のフラッシュオフ工程と比較してCO2排出量を17%低減する。
アクアテック塗装は、従来の油性塗装と比較してVOC排出量を78%低減、CO2排出量は原油換算で年間2680kl(リットル)削減する。
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