3D CADや3Dプリンタをテーマにしたイベント「3Dミライデザイン」が開催された。本稿では、第1部「デザイナーがつくるミライ」と第2部「ソフトウェアベンダーがつくるミライ」の講演内容について紹介する。
2016年3月17日、3D CADや3Dプリンタをテーマにしたイベント「3Dミライデザイン」が開催された。平日の夕刻から開催された同イベントだが、会場のDMM.make AKIBAは多くの来場者で埋め尽くされた。本稿では、第1部「デザイナーがつくるミライ」と第2部「ソフトウェアベンダーがつくるミライ」の講演内容について紹介する。
「デザイナーがつくるミライ」ではプロダクトデザイナーの吉田晃永氏とデザイナーの孫君杰(そん・じゅんじぇ)氏が登壇し、自身が手掛けたデザインを例に、現在のトレンドを説明した。
吉田氏は、日立製作所で原子力発電所のタービン関連図面を2次元CADで手掛けていた時代から数えて約30年間のキャリアを持つプロダクトデザイナーだ。現在は、アルテサーノ・デザインの代表として、工作機械や自動車用品をはじめさまざまなプロダクトデザインを手掛けている。
吉田氏は「3Dプリンタの登場によって、製品開発のプロセスは確実に変わってきた」と語る。従来のプロダクトデザインは、アナログ画による検討、モック制作検討、そして3D CADによる3D化というプロセスが中心だった。しかし現在は、当初にある程度のアナログ画のスケッチが存在しつつも、そこから3Dデータ制作、レンダリング、そして3Dプリントによる形状確認を行うというプロセスになっているという。
続いて登壇した孫氏は、吉田氏とは対照的にプロダクトデザインに関わった経歴は5年程度と短い。建築デザインでキャリアを重ねてから、プロダクトデザインに進出したからだ。
孫氏が提供した話題は、パラメトリックデザインやコンピュテーショナルデザインと呼ばれる、コンピュータによる計算を活用してデザインを行う手法である。同氏はパラメトリックデザインによるプロダクトデザインで注目を集めており、ダイハツ工業の軽スポーツカー「コペン」のアクセサリーを自分好みのデザインに設定し3Dプリンタで出力する「Effect Skin」にも参加している。「パラメトリックデザインで作り出すことが多い微細形状を出力しやすい3Dプリンタとは相性が極めてよい」(孫氏)という。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.