FCV PLUSのコンセプトの中でも盛合氏が強くアピールするのが「24時間働くクルマ」である。1日のうちで乗用車が実際に利用されているのは平均1〜2時間程度で、それ以外の時は止まっている。「クルマが止まっている間に何ができるのかを考えることは、自動車メーカーにとって今後の大きなテーマになるだろう。FCV PLUSは、2030年ごろに水素ステーション以外に入手方法が広がっているだろう水素を使った『移動できる発電機』としての利用により、24時間働くことを想定している」(同氏)。
FCV PLUSは、ワイヤレス給電システムによるインフラ側への送電や、隣に駐車している電気自動車への送電などができるようになっている。エネルギー源となる水素は、車両の後方中央に設置したコネクタを使って充てんする。盛合氏は「2030年ごろの大規模商業施設の駐車場であれば、自動駐車した燃料電池車に自動的に水素を充てんするシステムなどが用意されるようになっているだろう。そういったシステムを想定すると、水素充てんコネクタの設置位置は、現行のミライのように車両の後側方ではなく、車両後方中央になる。これらの駐車場内に駐車している複数の燃料電池車は発電機として働き、大規模商業施設に電力を供給する」と説明する。
2030年ごろを想定していることもあり、現時点での実現性は感じられないかもしれないFCV PLUSだが、トヨタ自動車が作るクルマの将来像の1つでもある。FCV PLUSに組み込まれている技術がどのように実用化されていくのか、興味深いところだ。
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