ソフトウェア開発で用いられるモデリング手法には、UMLやSysML、状態遷移図、フローチャート、データフロー図、E-R図、EA、ピクト図などがあります。これ以外にも多くの手法があります。
手法は多くありますが、その根底にあるのは(1-2)から(1-5)で紹介してきたように、対象を分かりやすく表現し、それを再利用することです。この根底の部分をつかみさえすれば、どのような手法を使っても問題ありません。
UML/SysMLツールには、製品としてastah* やEnterprise Architect、Rhapsodyなどがあります。それにVisual StudioやNetbean、Eclipseなどの統合開発環境には付属しているかアドオンできるツールもあります。UMLツール以外にはE-R図ツールとしての「MySQL Workbench」や汎用作図ツール(DFDやフローチャートが描けます)としての「Microsoft Visio」(製品版)や「Dia」(フリー版)などがあります。この他にもツールはいろいろとあります。
UMLツールは精錬されていて、文房具のように自然に使えるものが多いですが、そうでない分野のツールもあります。ツールで苦労するのは本末転倒です。使いにくいと感じたら、別のツールを使うことをお勧めします。
UMLで使いにくいところとしては(1)階層記述ができない、(2)要求図が弱い、(3)仕様が膨大で不統一、(4)トレーサビリティが弱い、(5)目的が総花的、(6)コード生成が弱い、(7)差分表記が弱い、などが挙げられます。
他にも使いにくいところはありますが、コツが多く生み出され運用方法も洗練されてきています。これらは次の(2-2)でも紹介していますので、参考にしてください。
(2-1)で指摘したUMLの弱点をカバーするには、階層記述をするコツ、要求図をUMで描くコツなどが必要になります。これらは第3回の記事を参照してください。
UMLはソフトウェア開発では主流となっている手法・ツールなので、弱点をカバーする多くの知見が集まっています。主流の手法・ツールを使うことは、このように同じように苦労している人が集まり、その結果、多くの知見が集まるというメリットもあります。
SysMLで使いにくいところは、(1)UMLほど流行っていない、(2)要求図に大きな面積が必要、などが挙げられ、その他はUMLの弱点(2-1)に準じます。SysMLはこれから普及していく手法・ツールですので、今後、欠点やそれをカバーする方法が集まってくるでしょう。
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