前編では「モデル」の目的とその効果、具体的なモデル手法について代表的なものを説明しましたが、後編ではその手法を実践するツールを紹介します。
UMLやSysMLを活用できないエンジニアのための実践的活用術(前編)では、ソフトウェア設計を行うために必要不可欠な技術である「モデリング」の手法を紹介しました。後編ではその手法を実装しているツールを見ていきましょう。この連載「プロジェクトを成功させるモデリングの極意」では、モデリングツールの使い方そのものには触れませんので、簡単に紹介したいと思います。
UMLモデリングツールは多く存在しており、製品版やフリーのものから、統合開発環境にUMLツールが同梱されているものもあります。SysMLツールも一緒に紹介します。
製品版としては「astah*」(コミュニティー版もあります)や「Enterprise Architect」、「Rhapsody」があります。
他にも製品版のツールはありますが、この3つが多く使われています。また astah* は旧JUDE時代からコミュニティー版(フリー版)がありますので、用途に応じて使い分けてください。
統合開発環境同梱版としては「Visual Studio」や「Netbeans」、「Eclipse」があり、EclipseについてはAmaterasUML、EclipseUMLなどフリーのUMLプラグインが多数存在します。こちらは統合開発環境との整合性も含めて選ぶことになります。
もちろん、お絵かきツールでUMLモデリングするのも可能です。概念レベルのモデリングであれば、ホワイトボードに描いている感覚で描くことができ、専用ツールを使うよりも簡単に描けます。
また、UML/SysMLツール以外にも、モデリングツールはいろいろとあります。E-R図ツールとしての「MySQL Workbench」や汎用作図ツール(DFDやフローチャートが描けます)としての「Microsoft Visio」(製品版)や「Dia」(フリー版)などが挙げられます。astah*やEnterprise ArchitectなどはUMLツールですが、DFDなども描けます。
しかし、一番多く使われている汎用作図ツールは「Excel」(図1)でしょう。Excel方眼紙でフローチャートから、E-R図から、DFD、ワークフロー図など、多くの図を見かけます。この連載ではツールそのものにはあまり言及しませんが、「弘法筆を選ばず」でなく、ツールは選んでください。ですが、モデリングの失敗をツールのせい「のみ」にはしないよう、心掛けてください。
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