本社があるのは、オランダのアムステルダム。だが、実際に同地を訪れても、同社関連の施設はどこにもなかった。あくまでも、登記上の本社がアムステルダムなのだ。実際の本社機能があるのは、イスラエルのエルサレムだ。
同国の最大都市であるテルアビブから、クルマでフリーウェイを東へ約2時間。キリスト教、ユダヤ教、イスラム教の聖地がある、エルサレムの旧市街地のほど近く、IT系企業が数多く進出するハイテクパークの一角にMobileyeの建物がある。
従業員数はここに約600人。この他では、データ解析の拠点としてスリランカに約500人が就業している。
設立は1999年。エルサレムにあるヘブライ大学で画像認識を研究する教授のアムロン・シャシャウ氏とビジネスマンのジィブ・アヴィラム氏が創立者だ。アヴィラム氏は、「ことの始まりは、シャシャウ教授が日系大手自動車メーカーからの依頼で、単眼カメラを使った画像認識用のプロトタイプを作ったことだ」と、会社設立の裏事情を明らかにした。
その後、量産に向けて開発を進める段階で、欧米と日本の大手ティア1サプライヤとの間で技術提携を進めた。そうした中、最終的にたどり着いたのが「SoC(システム・オン・チップ)」という半導体の設計を行うビジネスモデルだった。半導体の製造は、フランスとイタリアの合弁企業であるSTマイクロエレクトロニクスに委託し、Mobileyeは頭脳集団に徹することになった。
量産型「Eye Q」の搭載が始まったのは2007年。GM、BMW、Volvo(ボルボ)向けでの実績が評判となり、その他の自動車メーカーやティア1サプライヤからの引き合いが一気に増えたという。
2016年1月までの累計で、Eye Q、第2世代の「Eye Q2」、第3世代の「Eye Q3」を搭載した量産車の数は世界全体で1000万台を突破している。
Mobileyeの技術を適用している、具体的な自動車メーカーとティア1サプライヤとの組み合わせは以下のようになる。
これらの他にも企業名を公表していない複数の自動車メーカーとティア1サプライヤがいる。
2016年には、新たに52車種での搭載が決まっている。その中には、単眼カメラのみでの前車追従型クルーズコントロール(ACC/アダプティブ・クルーズ・コントロール)、GMの簡易自動運転の商品名「スーパークルーズ」、そしてボルボの動物検知などが含まれる。
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