単眼カメラを用いる先進運転支援システム(ADAS)向けのSoC(System on Chip)やアルゴリズムの設計開発を手掛けるMobileye(モービルアイ)。これまで脇役に徹してきた同社に対する注目が一気に高まっている。Mobileyeはどういった企業で、今後どのような事業展開を目指そうとしているのか。同社に詳しい桃田健史氏が解説する。
「ついに、表舞台に立った」。
2016年1月上旬、米国ネバダ州ラスベガスで開催された「CES 2016」のドイツ・フォルクスワーゲンによる基調講演に、Mobileye(モービルアイ)の創業者で共同経営者のアムロン・シャシャウ氏が登壇した。さらには、General Motors(GM)も、Mobileyeとの“新たなるビッグデータビジネス”で提携すると発表した。こうした動きに対応して、シャシャウ氏はMobileye独自の記者会見を開き、同社が持つ技術の実情とこれからについて詳しく述べた。
これまで、自動車メーカーに対する脇役だったMobileyeが、いきなり主役に抜てきされた――。イスラエルのエルサレムにある同社の開発拠点を直接取材した経験のある筆者としては、そんな印象を持った。
日本では、同社製品はフリート(商用車)用をメイン市場としたアフターマーケット商品として販売されているが、知名度は決して高くない。また同社の画像認識技術は、自動車メーカー向けの技術として、ティア1サプライヤを通じて量産車に搭載されているが、ユーザーはもとより自動車メーカーの多くの技術者がその存在を知らない。
そんな影武者が、いきなり主役に躍り出たのだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.