――では、圓田さんのこれまでの作品(マシン)を紹介してください。
圓田さん コンセプトは戦隊モノで、5台作ることを目標にし、1台ずつ異なるジャンルのレースカーにしようとデザインを考えました。
圓田さん 1号機は、赤色が似合う主人公的マシンをイメージ。2015年8月に行われた「Maker Faire Tokyo 2015」に間に合わせるために製作しました。出力はFDMの3Dプリンタで、手作業で表面を磨いたので大変でしたね。藤村さんにFusion 360を教わり始めたばかりだったので、何もかもが苦労の連続でした。今見直すと、面がきれいに整えられていないとか気になる点もありますが(笑)。
圓田さん 2号機は、「F1カーに『カウル』を付けたらどうなるか」というコンセプトからデザインしました。車両後部は60年代プロトタイプのようなクラシックな雰囲気に仕上げています。プロのデザイナーの方であれば紙にデッサンしてから設計するんでしょうけど、ボクはデッサンできないのでいきなりFusion 360です! ちなみに、2号機以降は外部の3Dプリントサービスを利用して造形しています。
圓田さん パイプフレームのバギーを近未来的にデザインしたのが3号機です。T-Splinesモデリングで面を削除して、頂点を適当につなげていくと思わぬカッコイイ形状になる場合があるんです。これをボクは「奇跡」と呼んでいますが、そういう予期せぬカッコよさを含んだマシンです。
圓田さん 4号機は実車系に寄せたデザインですね。派手なカラーリングのラリーカーをイメージしました。このころになると、T-Splinesモデリングもかなり思い通りできるようになっていましたね。1〜3号機は1つの塊から形状を作り出していきましたが、この4号機以降はボディー本体とパーツを分けてモデリングして、後から溶接するというテクニックを使用しています。タイヤハウスのオープニングも4号機からきちんと円弧を使ってきれいに仕上げています。
圓田さん 「ル・マン」や「WEC」に出てくるような耐久レースカーをモデルに、着せ替えギミックにも挑戦しています。ちょっと塗装に失敗して、今、すごく汚い状態ですが……(涙)。
藤村さん この成長は本当にすごいなと思います。やりたいことが明確だと成長のスピードがこんなにも違うのかという好例ではないでしょうか。圓田さんは「デッサンができない」と言いますが、頭の中のイメージだけできちんと3次元形状が作れています。対面でじっくりとレクチャーしたのは2〜3回程度。それ以降は放任主義でした。少しだけやり方を教えれば、後は自分で何とかしようと努力していましたね。また、やりたいことが明確なので疑問に対して具体的にアドバイスできました。そういう積み重ねもあって、どんどんテクニックを吸収していったのだと思います。
圓田さん まぁ、好きだからできるんですよね。だから、これからFusion 360を始めたいという人は、初めは絶対に“自分が好きなものを作る”ことからスタートした方がいいと思います。モチベーションの維持が全然違いますよ。好きなものだと、頭の中で形もイメージしやすいですからね。
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