例えば、ソフトウェア開発の品質改善をめざし、テストツールを導入したとします。テストツールの導入以前と導入以降で、テストフェーズでのバグ摘出件数に差が有るか判断したい場合です。
表.2 導入前後のバグ摘出件数 | ||
---|---|---|
モジュール | ツール導入前 | 導入後 |
A | 5 | 6 |
B | 6 | 8 |
C | 3 | 4 |
D | 9 | 8 |
E | 1 | 2 |
厳密には、テストに要した工数も比較しなければならないでしょうが、今回は割愛します。まず、仮説を以下のように設定します。
・帰無仮説:ツール導入の効果無し
・対立仮説:ツール導入の効果有り
次に、上記の例題1で示した手順通り実施すると、以下の結果が出ます。
検定量が0.178となっており、検定量>0.05です。よって、新旧の開発プロセスに差がなかった、すなわち、ツール導入によるプロセス改善の効果無し(注4)という残念な結果になります。
今回は、平均値の差の検定の具体的なやり方を紹介しました。書籍を読むだけでは理解しにくいことも、ツールを使用すれば意外と簡単ということがお分かりいただけるでしょう。Excelの統計分析ツールは非常に強力です。しかも、(Excelを持っているなら)タダ。
これを活用しないのは、東京大阪間の新幹線無料乗車パスがあるのに、歩いて東海道五十三次を2週間かけて旅するようなものです。100件程度のデータの統計的な分析なら、1時間もあれば可能です。まずは、やってみましょう(注5)。
『統計処理に使うExcel2010活用法 - データ分析に使える Excel実践テクニック』(相澤祐介 著、2010年、カットシステム
『Excelで学ぶ統計解析入門 Excel2013/2010対応版』 (菅民郎 著、2013年、オーム社)
『らくらく図解統計分析教室』 (菅民郎 著、2006年、オーム社)
東海大学 大学院 組込み技術研究科 准教授(工学博士)
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